Friend's 7
もう…なにも信じられない。
ゆうくんも彩もあの女も…
でも、あの女もゆうくんを盗られたのよ…
あの女と私の利害は同じ。
それに、あの彩を…
裏切った親友が憎い。
「…夏美さん、あの泥棒女をどうするの?」
「…渚?ま、待ってよ…」
「泥棒猫の親友でしたっけ?ゆうくんを籠絡するつもりなのかしら?」
「待っ…」
「わ、私は悠斗とはなんでもないって…」
「ふーん、なんでもないんだ。なんでもないからエッチなことするんだ…」
「まだなにもしてないって言ってるでしょう!」
「まだ。ね。そうだったんだ。信じてたのに。」
〜〜〜〜
フフフ…
私の作戦は大成功よ。
あの彩も夏美も思いのままよ…
「…ゆうくんは私みたいな幼なじみはいらないんだよね。彩さんみたいな子がいいんだよね。」
どんどん追いつめられて彩の表現は青ざめて、顔から血の気が引いている。
「じゃぁ、わたしはもう居なくなるね。さようなら。裏切り者ちゃん。」
渚の生気の抜け出した灰色の眼には、はっきりと彩の怯えた顔が映っている。
「・・・ゆうくん、わたし、ずっとゆうくんのそばにいるからね。ずっと、ずっと、ずっと・・・」
渚はスカートのポケットから彫刻刀を取り出して、渚の白く陶器のような首筋に刃先を立てる。
青い血管が浮き出ている場所を手探りで探し出すと、彫刻刀を強く握り締めた。
「ま、まてよ。渚、待ってくれよ。僕は君が好きだし、大好きだよ。本当に。誓って。だから死ぬなよ。死ぬなよ。」
「・・・ゆうくん、優しいね。でもね、この裏切り者や泥棒猫からゆうくんを守るにはこうするしかないんだ。」
渚は頸動脈を刺した
〜〜〜〜
渚は、彫刻刀をさらに握り締めてから、いままで僕が見た中で一番きれいな笑顔をして、
首に刃先を突き立てた。
「ぁぁああああああああああ」
僕はただ叫ぶ事しかできなかった。
辺りが真っ白になった気がしたが、目の前には首筋から血を吹き出した幼なじみが倒れていた。
「あはははははははははは」
夏美は狂ったように笑い、
彩は頭をかきむしって、
「いゃぁーー」
と叫んでいた。
悲鳴と笑い声を教師がすぐに聞きつけてやってきて、渚はどこかへ運ばれていった。
僕は気を失ったようで、気がついたのは保健室のベットの上だった。
窓から差し込む光は橙色で、もう夕方になっていた。
「・・・なぎさっ!」
僕は起き上がり、くらくらする思考を振りほどいてベットから降りた。