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私の秘密
官能リレー小説 - 若奥さん

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私の秘密 44

思わず表情が硬くなる。
『仕事を辞めることにしたんです。だって、毎日のように痴漢されて…弘人さんみたいな卑劣な人にまるで自尊心まで弄ばれて。仕事を辞めて電車に乗らなければ痴漢なんて遭遇することもないし…だから』
慎一さんは少しの間黙っていた。
「そうですか。」
そう言うとまた少しの沈黙があった。私の発言を待っているようでもあったが、少しして慎一さんは私に尋ねた。
「それで…身体は満足できますか?」
私は自信を持って答えた。
『ええ、できます』
自信、ではない。そう言って自らを納得させているのだ。思い込ませているだけなのだ。
『久しぶりに夫が抱いてくれたんです。抱えていた仕事がやっと終わったからって。夜も遅くまで頑張って働いた身体で、寂しい思いをしてたのを悪く思ってたみたいで、疲れてるだろうに頑張って抱いてくれたんです。とても嬉しかった。気持ちよかったんです。実を言うと、私はもう慎一さんが相手じゃないと満足できない身体になってしまったんだって思ってました。だけど逝けたんです。夫婦のセックスがこんなに素晴らしいものなんだって思えたんです。もう裏切りたくない、本当に終わりにしたいんです。』
言葉に詰まりながらも、何とか自分の気持ちをぶつけることができた。
「だけど舞さんはまだ若い、本来ならもっと性を自由に謳歌して、楽しんでもおかしくないはずですよ。旦那さんは年に何回愛してくれますか?」
『回数の問題じゃありません、質の問題です。』
「旦那さんより明らかに舞さんを狂わせることができる私を相手に言えますか?」
『狂いたいんじゃありません。愛し合いたいんです。一緒に悦びを分かち合いたいんです。』
軽い溜め息をついた後、慎一さんは言った。
「舞さんはひとつ大きな勘違いをしています。貴女は旦那さんとのセックスに悦びを見出だせたと思っていますが、それは我々の匙加減です。」
『え…なに、何を…』
これまでと違う慎一さんの冷たい声に、急に不安になっていく。
「私を含め、仲間もみんな、何も痴漢した対象の女性を奪いたいわけじゃない。夫婦の仲を裂こうとしているわけじゃないんです。女性としてこの上ない快感を与える、だけど我々以外のノーマルな相手とのセックスで悦びを感じないんじゃ不幸にさせるだけだ。表向きは寝取るだの他の男相手じゃ満足できない身体にしてやるだの言いますけど、実際は感度を上げて多少下手くそなパートナー相手でも逝ける身体にしてるのが本当のところです。」
悟さんとのセックスが、夫婦で分かち合ったはずの悦びが、全てこの男達の手の上で踊らされていたこと…。
『そんな…』
「本当のことです。好き放題弄んでこんなことを言うのもおかしな話ですが、絶対夫婦のセックスで満足できない身体にしないというのが我々のルールなんです。夫婦のセックスで絶頂を味わうことは可能、だけど我々の肉棒の悦びも刷り込んでおく。そうすればまた私達を受け入れざるを得ないから。」

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