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私の秘密
官能リレー小説 - 若奥さん

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私の秘密 36

 そこからの私の意志は自分で考えている以上に硬かったようだ。どうしてそこまでできたのか今となっては分からないが、改札を抜け、脱力に襲われるとものの数分で会社に電話をかけ、退職する旨を伝えたのだ。突然のことで上司は驚いていたが、男尊女卑が残る社風の中で自分が所詮パートだということ、パートだというのに正社員並みに搾取され、会社は何も守ってくれないこと、これまで不満に思っていたことが考えているより先に矢継ぎ早に口から出た。
 そんな攻撃的な自分を冷静に見ている私もいるわけで、あー、雄のフェロモンを毎日浴びているうちに私もどこか男性的になったのかも…などとバカなことを考えていた。
上司の返答など待たず、
『では、今までお世話になりました』
と告げ、携帯を切った。何か今まで溜まっていたものが急に吐き出され、少しだけすっきりとした気持ちになった。私が戦うべき対象と違うところに吐き出してしまった感じではあるけれど。
 さて、これからどうしようかと思いを走らせていると、後ろからブラウスの裾をツン…と引っ張られた。振り替えると、電車の中で痴態を晒していたあの少女が俯き立っていた。
『あ…さっきは、ごめんなさい…あんな恥ずかしいこと…』
『………いいんです……汚い男の人より御姉様の方が気持ちよかった…』
頬…だけではなく全身を真っ赤に染める女の子、と答えに詰まる私。とても気まずい。
でも、なぜか視線を外せない。彼女は可愛かった。同性の私が見てもドキドキするほどに可愛く、そして可憐で儚い娘だった。
そう、守ってあげたくなるほどに…そして、苛めてあげたくなるほどに…。
『私は仕事で、と言ってももう辞めるつもりだけど、いつも降りる駅なの。貴女はどこで降りるはずだったの?』
女の子は俯いたまま答えた。
『学校はあと3駅なんですけど、お姉さんに着いて来てしまいました。』
しばらくの沈黙のあと、彼女が囁くように言った。
『女性の方が好きなんです』
その一言で身体中の血液が逆流するほど胸が高鳴り、思わず手を握りしめた。
『ふたりきりになろっか…』
この時間はうちの会社の正社員は外にはいない。だけど念のため、タクシーでさらに遠い駅へ向かい、ほぼ無人、利用者0に近い駅の向かい側にあるホテルへ入った。
部屋に入ると同時に会社から電話が入り、1ヶ月の休職扱いになったことを告げられた。
『そうですか、でも私の意志は硬いです』
そう告げると電源を切った。こんな我が儘なパート社員に1ヶ月も休暇をくれるなんてホワイト企業もいいとこだ、自分の身勝手さに微かに罪悪感を覚えたが、目の前の可愛い女の子を見るなり意識はそっちへ持っていかれた。
『ねぇ…』
『ミクって呼んで下さい。未来って書いてミクです』
声も澄んで綺麗だ、物語に出てくる可憐な少女を思わせるが、残念ながら未来は天性のマゾだ。今まで考えたこともなかったのに、目の前の少女を泣かせたくて堪らない。
『未来ちゃんはどうして私に着いて来たの?電車の中で焦らして苛めたのに。ここまで来たらだれも助けは来ないのよ?夕方まで焦らされたらどうするの?』
わずかに不安な表情を見せたが、すぐに上気した表情でブルッと身震いをして見せた。
彼女はきっとこうやって、自分を苛めてくれる人を探してたんだ。私が彼女を狙ったわけじゃない。彼女が私をターゲットにしたんだ…。
『や…待って…こわい……ひどいことしないで…………』
こんなこと言ってるけど期待してるのは分かってる。
さあ、私を苛めて。縛って、焦らして泣かして。逝かせた後は限界を超えても責め続けてね…

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