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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 10

「はいっ。爆発の規模こそ大きかったようですが、みなかすり傷程度の軽傷とのことです!
 事故の後処理も終わったようであります!」
「ん、わかった。教えてくれてありがとうな」
「・・・っ!い、いえっ!啓太様のお役に立てて光栄ですっ!」

啓太の感謝がよほどうれしかったのか。
質問に答えた女怪人は、顔を真っ赤にさせ、涙目になりながら敬礼した。
啓太としては人間の常識としてお礼を言っただけなのだが。
感激に打ち震える怪人を残し、啓太は現場に向かうべくギャラリーに道を開けるように命令した。
啓太の命令に、モーゼの十戒のごとく割れた道を通って開発部に入ると。
そこでは申し訳なさそうに身を縮こまらせる開発部部長のマジカルバニーとその側近数名。
そして啓太が来たことにまるで気づかず、聞くからに難しそうな会話をする怪人たちがいた。

「ももも、申し訳ございません啓太様っ!
 わわわ、私がしっかりしてないばかりにまたこのようなご迷惑を〜!!」

マジカル・バニーは啓太を見るなり、許しを請う死刑囚のように頭を下げる。
側近たちも同じ気持ちのようで、その様子から『お許しを』『ご慈悲を』という彼女たちの心の声が聞こえてくるようだ。
本物のウサギよろしく、震えながら沙汰を待つその姿はとても哀れで、啓太は思わずすべてを許してしまいそうになる。
だが。そろそろ両手で数えられないくらい同じことを繰り返していて。
おそらく問題を起こしたであろう、当の本人たちに反省の色がまったく見られない以上、許すわけには行かなかった。
正確にはマジカル・バニーではなく犯人たちを。
啓太はおまえたちの気持ちはよくわかったとばかりにバニーの頭をぽんぽんと叩くと。
いまだに議論に白熱している開発部員に近づいていった。

「・・・これだけの事故起こしといて、ずいぶんと余裕があるなぁ?オイ」
「だから・・・ん?おお、啓太様!
 また我々の成果をご覧になりにいらっしゃったのですか!?」
「申し訳ございません、啓太様。
 せっかく来ていただいたのに見せられる成果がこの様で」
「しかし得るものはありました!
 この次こそは強化用小型ロケットをご覧に入れて見せましょう!」

事故を起こしたことなどまるでなかったかのごとく、うれしそうに話を続ける犯人たち。
部長のマジカル・バニーは危険なものを感じて、啓太の背後で必死にジェスチャーを送るが、本人たちはまるで気づいていない。
すでに啓太の導火線は爆弾に着火するその直前だと言うのに。

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