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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 11

そしてついに啓太の堪忍袋の緒が切れた。

「・・・『黙れ』」
「「「・・・っ!?」」」

強制権が発動され、その場にいた怪人すべてが沈黙する。
いや、声が出せなくなる。
突然声を封じられ、慌てふためく怪人たちをよそに啓太は淡々と言葉を続けた。

「・・・研究熱心なのはいいことだけどな。
 もうちょっとまわりの迷惑ってモンを考えろ。
 罰としておまえらのポイントは全部没収。
 『1ヵ月くらい部屋にこもっておとなしくしてろ』。
 わかったな?」
「「「・・・・・・っ!?」」」

厳しい沙汰を言い渡された開発部員たちは、顔を真っ青にさせつつ首肯する。
強制命令によってYESと言わざるを得ないのだ。
きっと本心では今すぐにでも土下座して撤回を求めたいだろう。
だが啓太は涙目になっている犯人たちに、微塵の同情も見せない。

「よろしい。それじゃおまえら、責任持って散らかしたここの片付けやっといてくれな?
 それとマジカル・バニー!後でオレの部屋に来い」
「・・・!(コクコク)」

啓太はうなずくバニーを確認すると、にっこり笑ってその場を後にした。
しかも去り際に『もうしゃべっていいぞ』と怪人たちが話せるようにアフターケアまでしっかりして・・・。
その見事な手際の後に残されたのは、自分のしでかしたことの大きさにようやく気づいた開発部員たちと。
以前の啓太からは考えられない、深く静かな怒りに恐怖する怪人たちだけだった。

――――

そしてそれから数時間後。
責任者として事情聴取を受けた開発部部長のマジカル・バニーは、指示通りに啓太の部屋へとやってきていた。
部屋の主が不在だったバニーは、部屋の中央でちょこんと座り込んでじっと啓太の到着を待ち続けていた。
しかしその顔色は明らかに悪く、身体は小刻みに震えている。
ここに来るまでに夢や警備部の連中からたっぷり絞られたのだ。
啓太にどんなことを言われるか、怖くて仕方ないのだろう。
アパレント・アトムは他の組織と比べ、格段に規律のゆるい組織だ。
他の組織なら即座に廃棄処分、処刑されるところがトラウマになりそうなくらいの説教で済まされることが多い。
しかし今回は啓太直々のお呼びだ。
持ち主に迷惑をかけてしまったという、道具にあるまじき事実がバニーを恐怖のどん底に突き落としていた。

(嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ!啓太様に嫌われたくない!
 捨てられたくない!啓太様に見捨てられたら、私はいったいどうしたらいいの!?)

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