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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 90

時には命令違反を犯してまで。
それらは全て、あるたった1つの目的のために集約されている。
すなわち―――初代の仇討ちである。
協会のデータベースを調べ、初代の足跡を何度も歩き。
たった1人で復讐を果たすべく動いているのだ。
なぜ黒河がそこまで啓太たちを追跡するのか。
それはおいおいわかっていくことだろう。
そして今日も黒河は啓太の大学に足を運ぶ。
全ては初代の無念を晴らす。ただそれだけのために。

――――

「ん〜〜〜!やっと終わった〜〜!」

講義が終わって昼休み。
啓太たちは大学の広場で食事をしていた。
大学に通っていた頃はいつも食堂で食事をしていた啓太だが、今回は広場で食事をしている。
なのになぜひさしぶりの学校で食堂に行かなかったのか。
それは食堂が初代エルカイザーの死んだ場所だったからだ。
2代目がしつこく仇であるアパレントを追っている以上、そこにやってくる可能性は極めて高い。
幸いにして啓太つきのメイドであるマリアたちが弁当を持参していたこともあり、広場で食事をとることにしたのである。
もっとも、4人(正確には6人)の美少女が現れたとあって、いつもは閑散としている広場もそこそこの賑わいを見せている。
彼らが啓太たちの何気ない選択・行動にこのような思惑や感傷があるなど、夢にも思わないだろう。

「お疲れ様でございます、啓太・・・さん。どうぞ。お茶でございます」
「ん、サンキュ」

啓太はマリアからお茶を受け取ると、一口飲んでのどを潤す。
ここ最近はずっと基地で食事をしていたので、こういった場所で食べる食事は本当にひさしぶりだ。
味気ない食事も場所が変わればうまく感じるというのは本当かもしれないな、などと啓太は実感していた。

「ところで啓太さん?ひさしぶりの学校、どうでした?」
「ん?ああ、ここに来ただけの成果はあったよ」

弁当を広げるマイの質問に、啓太はにっこり笑って答えた。
その様子にマイたちメイド軍団はちょっとだけ安心した。
ここに来たのは啓太が自分を見つめなおし、自分の役割を見極めることである。
もちろんその答えを見つけられれば、それに越したことはない。
でも彼女たちが安心した1番の理由は啓太の笑顔だ。
啓太はその性格上、人一倍怪人に気を使い、自分の無力さを気にしている。
そんな彼がこんなスッキリした笑顔を見せてくれるのだ。
それだけで彼女たちは、今までの苦労が報われたように感じるのだった。
そんな穏やかな昼食が始まろうとしたその時だ。
永遠がピクリと何かに反応し、啓太に気づかれないようにアイコンタクトを送った。
彼女の警戒ネットワークに何か引っかかったらしい。
穏やかな時間はゆっくりと、だが確実に終わりの時間を迎えようとしていた。

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