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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 89

何しろたった1人の復讐者のために、組織壊滅にいたった話など星の数ほどあるのだから。

「敵さんの顔写真とプロフィールは?」

マヤの要請に、直純は事前に用意しておいたファイルをマリアたちに渡した。

「・・・ん?」×3
「どーしました、先輩?」
「何か気になることでもございましたか?」

近く戦うことになるだろう敵の顔写真に、エレメンタルの3人が怪訝な様子でうなり出す。
朱鷺や蒼が声をかけると。

「いや・・・ちょっと・・・ね」
「ああ・・・。どこかで見たような顔なんだが・・・」
「私たち、いつも本部でご主人様の世話ばかりしていたはずですし・・・」

やけに歯切れの悪い答えが返ってきた。
彼女たちが戸惑うのも仕方ないだろう。
エレメンタルの3人は、元々正義の味方側の人間だ。
それをクロックが捕獲、洗脳を施した結果が今の彼女たちだ。
生半可なことでは解けない強力な洗脳をかけてあるとは言え、違和感を感じるのは仕方のないことなのかもしれない。
エレメンタルの3人は湧き上がる違和感に首をかしげていたが、すぐに思考を切り替えた。
今の彼女たちにとって啓太こそが全てであり。
思い出せないことを思い出すことに時間をかけていられないという共通の認識からの結果だった。

「すみません、お手をとらせました。話を続けてください」
「・・・ああ。今日あたりにでもまた来るかもしれん。
 啓太様によけいな火の粉がかからないようにするのが今日の任務となるだろう。
 護衛役のアンタらも十分に注意してくれ」
「おまかせください。啓太様の身の安全は、我々がしっかりとお守りいたします」
「そっちもババ引かないように注意してね。
 誰かが死んだり、傷ついただけでも啓太様は悲しまれるから」

エレメンタルの皮肉交じりの心配に、直純は苦笑混じりにこう答えた。

「頼もしい限りだ。その実力がハッタリじゃないこと、期待しているぜ」

――――

その頃。直純たちの言う件の人物は、啓太の大学に向けてゆっくりとその歩を進めていた。
沢渡黒河。2代目エルカイザーとして活躍中の正義の味方だ。
世間には今のエルカイザーが2代目であることは知られていないが、その実力は初代を超えると注目を集めている。
しかしその注目には実力・素養だけでなく、問題児としての部分も含まれる。
2代目を襲名してからというもの黒河は、よく単独行動を取る。

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