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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 86

マリアたちから彼らの簡単なプロフィールを伝えられたところで、当の本人たちが啓太の前にやってきた。

「何やってたんだ、乱宮?
 ずいぶんと遅かったじゃないか!?」
「ふえ!?あ、ああ・・・。す、すみません・・・」

突然大男に名前を呼ばれ、あわてて謝る啓太。
まぁいきなり振られてアドリブしろと言われても、そう簡単にできるもんでもないだろう。
萎縮する啓太に、優男フェアリーとチビ男リトルがすぐさまフォローを入れる。

「おい牛沢。そんな大声出すなよ。
 おまえ、ただでさえ威圧感あるんだから」
「ん?そうか?悪い悪い。かっかっかっ!」
「で、そのコたちが今日ここを見学しに来た高校生?」
「はい。私、七海マリアと申します。
 今日はどうかよろしくお願いいたしますね」
「初音マイです!今日はよろしくお願いします!」
「青山マヤです」
「こちらこそ。オレの名前は笛上永遠。
 この大学のことでわかんないことがあったら何でも聞いて?」

流れるように進む会話。
啓太の割り込むスキなど、まるでない。
啓太の知らないところで、マリアたちの身分や目的などが次々とでっち上げられていく。
舞台役者も舌を巻くような流れに、啓太はただただ呆然と事の成り行きを見ることしかできなかった。
啓太をよそに、マリアたち4人は大学の見学に来た高校生ということになり。
みどり・蒼・朱鷺の3人(=1人)は腹話術好きの変わり者ということになった。
ちなみにマリアたちと啓太との関係は、家庭教師とその生徒ということになった。
そしてやってきた直純たち3人は、マリアたち4人を狙って近づいてきたスケベ根性丸出しの友人という設定にされた。

「じゃ、とりあえず校舎のほうを案内しますんで・・・。
 わかんないことあったら、いつでも聞いてください」
「わかりました。それでは今日はよろしくお願いいたします」

初対面とは思えない見事なやり取りを前に、啓太があっけに取られていると。
それに気づいた牛沢が声をかけた。

「おい乱宮!何ボーッとしとる!さっさと来んかっ!?」
「え?あ、はいっ!」

正気に返った啓太は、あわてて怪人たちの後を追う。
その様子は、目的を持ってこの大学に戻ってきた男と同一人物とは思えない。
こんな調子で、啓太はアパレント・アトムの総統として何かをつかむことができるのだろうか?
いやそもそも啓太は何の目的でこの大学に戻ってきたのだろう?
さまざまな疑問を残しつつ、啓太は久しぶりに大学生活を満喫するのであった。

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