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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 87


――――

その頃。ヒーロー協会新京支部では鬼瓦がある人物を探して怒声を張り上げていた。

「沢渡!沢渡はどこだ!?」
「沢渡?誰のことなの?」
「ゆ、紫さんっ。2代目エルカイザーさんのことっスよ!?」

機嫌の悪そうな鬼瓦に対し、信じられない疑問を口にする紫に、一真が小声で説明してやる。
鬼瓦の下に集められたヒーロー部隊、『オリハルコン・フォース』。
その実力はどれも折り紙つきの強者ぞろいなのだが、いかんせん性格に何があるものが多く、鬼瓦の苦労は絶えない。
その中でも特に彼を悩ませているのが、斬魔大帝エルカイザーの2代目を継いだ、沢渡黒河という人物だった。
沢渡はエルカイザーの称号を継いでからというもの、よく単独行動を取る。
それが訓練のサボタージュならまだいい。
しかし2代目の場合、大規模な戦闘中でも平気な顔して単独行動を取るのだ。
沢渡が単独行動を取りたがる理由を知っている鬼瓦は、それで問題を起こさないように目を光らせているのだが・・・。
今日も今日とて、その監視をかいくぐって逃げたというわけである。

プシッ。

そんな中、ジャスティス・エクスキュージョナーが運悪くトレーニングルームに入ってきた。
新たな八つ当たり対象・・・もとい、情報源の登場に鬼瓦はすぐさま彼を詰問した。

「おい北条(ジャスティスの人間名)!
 沢渡がどこに行ったか、知ってるか!?」
「へ?さ、沢渡ですか?し、知りませんよ!?
 アイツのことだから、またあの大学に聞き込みに行ってるんじゃないですか!?」
「〜〜〜っ、あのバカがっ!
 ちょっと連れ戻しに行ってくる!
 おまえらはそれぞれ自主トレしてろっ!!」

北条の言葉に、怒り冷めやらぬ鬼瓦はそう言い残して部屋を後にする。
台風一過の気持ちで一同が安堵のため息をつく。

「まったく・・・またアイツかよ?
 いいかげんにしてほしいもんだぜ」
「仕方ないですよ。沢渡さん、『例のこと』以来、ずっと仇を探しているみたいですから・・・」
「悪の組織の連中が、そう簡単にシッポを出すわけねえってのに・・・。
 諦めが悪いっつーか何つーか」

そのあきらめの悪さが今日実を結ぶことになるとは、予想だにしない一同であった。

――――

「えーつまり、以上のことから・・・」

その頃。啓太は護衛チームと共に大学の講義を受けていた。
エレメンタルの3人とその部下3人は直純に大学を案内してもらうという形で別行動を取っている。
今いる校舎外からの攻撃に備えるためと、啓太がいない間の情報を確認するためだ。
もちろん講義中に生徒や教師に扮した暗殺者が出ないとも限らない。
その護衛として牛沢、連絡員として永遠が残されている。

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