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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 83


「しかしまさかこの基地に、敵の侵入を許すなんて・・・。
 この時期、うちの組織の力を考えれば信じられないミスね。
 クロックがわざと誘い込んだのかしら?」

夢は倒れたままの格好でいろいろ推論を立ててみたが・・・そのうち考えることをやめた。
今考えたところで何もわからないし、そもそもクロックがこの事態を把握してないわけがないと思ったからだ。
本来なら自分が率先して潜り込んだ虫を叩き潰してやりたいところだが、今は自分の力を磨くことが先決だ。
何より、この疲弊しきった身体では何もできない。
部下にまかせる手もあるが、幹部クラスでこのザマなのだから、やらせるだけムダだろう。

(それまではせいぜい利用させてもらいましょう。いろいろと・・・ね)

夢は不敵な笑みを浮かべ、黙って事の成り行きを見守ることにするのであった。

――――

「ふわあーっ!何か、懐かしいなー!」

その頃。基地に侵入者があったとは知らない啓太たちは、ファミレス『デリシャス』を後にし、エルカイザーとの戦闘以来、来ることのなくなった大学に足を運んでいた。
もっとも啓太が久しぶりに大学に来たことを知るものなど、ただの1人だっていやしない。
元々この大学で親しい友達なんていなかったし、夢たちが啓太によけいな疑いの目がかからないように替え玉を立てていたのだ。
鬼瓦警部のような歴戦の勇士ならともかく、いかにカンが鋭くても一般人レベルの人間に気づかれようはずもなかった。
啓太がボロを出さなければ。

「ちょ、ちょちょっ、啓太サマ!?声っ!声がデカいですって!」
「たわけっ。おまえのほうが大きいわっ(小声)」
「啓太様。久しぶりの学校で興奮されるお気持ちはわかりますが、どうか冷静に。
 奇異の目を向けられてはやっかいです」
「ん〜・・・。でもマリア、そんなの、気にするだけムダのような気もするんだけど。
 何か、さっきからいろんなヒトたちから見られてるし」

マリアの注意とマイの指摘で、啓太はようやく自分の置かれた状況に気がついた。
どうやら久しぶりの大学と長い基地生活のために、気づくべきものに気づくのが遅れてしまったらしい。
それは啓太がすっかり気を抜いていたことだけではない。
周囲の生徒たちが啓太たちに視線を向ける理由は、もう1つあったのだ。

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