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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 68


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カランカラン・・・

「いらっしゃいませー♪
 ファミリーレストラン『デリシャス』へようこ・・・そ?」

マニュアルに従い、営業スマイルで客を出迎えたウエイトレス。
しかしその客の1人の顔を見た瞬間、彼女の脳内から隅々まで叩き込まれたマニュアルが吹っ飛んだ。
それも無理はない。
来たのはこのファミレスの店長・社長も目じゃない、VIP中VIPなのだから。

「けっ・・・!?けっ、けけっ、け・・・!?」
「・・・!マイっ」
「はいっ」
「ふぐぐっ・・・!?」

ろれつの回らない舌で何かを叫ぼうとしていると察した啓太は、マイに命じてその口をふさぐ。
幸い、他のウエイトレスや客たちは食事や接客に忙しくてだれも気づいていない。
啓太は口の塞がれたウエイトレスに、『大声を立てるな』と口元で人差し指を1本立てる。
その意図を読み取ったウエイトレスは壊れた人形のようにこくこくと首を縦に振ったのを確認してから、啓太は彼女の口を解放し、客として口を開いた。

「人数は5人でタバコは吸わない。
 できれば人の目につかない、静かな席がいいだけど、あるかな?」
「はっ、ははは、はいぃっ。かかか、かし、かしこまりまり、まりした・・・っ!」

ブリキのおもちゃのような動きで、啓太たちを案内するウエイトレス。
食事以外の目的もあってここにしたのだが、やめておくべきだったかと、啓太は今さらながらにちょっと後悔するのであった。
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「済まないな、急に呼び出したりして」
「別に構わないさ。こっちだって暇だったしな」
居酒屋 安寧で鬼瓦は久しぶりに合う同僚と合っていた。
「それで、どうだ?お前は公務員だし、安定しているだろ?おやじ、ビール中と焼き鳥10を」
「そうだな。そういうお前はどうなんだ、山岡」
あいよーと返して注文された料理に取り掛かる店長に尻目に鬼瓦が話を切り出す。
山岡と呼ばれた男は鬼瓦と同じくかつて五大英雄の一人だった。
所が大戦の終了を機にヒーロー協会を止めて個人事務所を開業したのだ。
今現在こそしがない探偵だが、五大英雄時代は『革命戦士 スライスラー』と言うヒーローであり、怪人達からは『幻影の殺戮者』と恐れられていた。
「相変わらず火の車だよ。この食事代にしても協会で貯めた貯金を崩しているんだぜ。おっと、野暮な事は言いっこなしだ」
謝ろうとした鬼瓦の口を封じるように山岡は諌める。
「でだ、早速本題に行こうか。このままだとおちおち喉に通せやしない」
ビールを一口喉に通してから山岡は鬼瓦に話を促した。

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