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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 57


チェス・ボードは啓太の意見を却下すると、慣れた手つきで診察を始める。
診察を受けながら啓太は思う。
やっぱり怪人ってすごい連中だな、と。
チェス・ボードは道具もカルテもない手ぶらの状態なのに、見たり触ったりするだけでいろんなことを詳細に調べていく。
プロのお医者さんもビックリの医療能力だ。
啓太も勉強の一環で人体の構造や治療方法についていくつか教わっているが、それに比べれば月とスッポン、天と地ほどの差があるとわかる。
だからこそ、啓太は焦らずにはいられなかった。
そこで啓太は一計を案じることにした。
アパレント・アトムの怪人の特性を利用した方法を。

「はい啓太様、検温しますからお口を開けてください」

何も知らないチェス・ボードが、啓太の口に人差し指を差し出す。
それをチャンスと見た啓太はさりげなくふってみる。

「あれ?指で検温すんのか?てっきりキスでするもんだとばっかり思ってた」
「あはは、私もそうしたいんですけどね。
 あいにく今は患者がたくさんいますし。
 今そんなことすると不完全燃焼になって大変なんですよ」
「・・・だったら完全燃焼するように激しくシテやろうか?」
「・・・え・・・?」
啓太はチェス・ボードを見つめシテやろうかと言い出すと、チェス・ボードはびっくりした。
主が自分を求めてくる何て予想外の幸運に彼女は戸惑うしかなかった。

だがあのヘタレの啓太が、いきなりこんな気の利いたことをするわけがない。
この行動にもちゃんと理由があった。
ルシフェルを保護したことで始まるであろう戦いまでに、自分のすべきこと・できることを知りたい。
そのためにチェス・ボードに早めの退院をさせてもらうよう、取り計らってもらいたかったのだ。
強制命令で今日にも退院することは可能だが、できれば強制はしたくないし、無理をしてまた倒れてしまっては元も子もない。
それゆえの苦肉の策がこれであった。
だが啓太はかなりの確率で、この作戦が成功する自信があった。
アパレント・アトムの女怪人たちにとって、啓太に抱かれることは何よりの名誉・幸福だ。
啓太は人としてのモラルから女怪人を性の道具にしたり、ほうびとして抱くことを嫌がっていたが、そんなこと女怪人たちには知ったことではない。
だからこそこの作戦は成功する。
そう思って啓太はチェス・ボードに迫るのだった。

「遠慮すんな。部下たちの手前、いろいろ我慢してたんだろ?
 今だって仕事仕事で大変だもんな。ここらでスッキリさせてやるよ」

その言葉にチェス・ボードはごくりと生唾を飲み込む。

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