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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 53


「いっ・・・いかん!おまえたち!早く啓太様をお助けしろっ!」
「あのままでは啓太様がっ!?」

あわてて指示を飛ばすもの、助けようとするものはさまざまだが、ルシフェルは必要ないとばかりに右手を突き出してそれを制した。

「よけいなことをするな、バカモノが。
 人間、物事は身体でわからせるのが1番なんだ。
 黙ってみていろ」
「そそそ、そんなこと言ってる場合・・・!」

ガラガラガラ・・・!

最後まで言い終わる先に啓太のいる瓦礫の山が、音を立てて崩れた。
それの意味するところを知った怪人たちは、真っ青になって啓太救出に向かうのだった。

「・・・ふん。実力なし、頭もなし・・・か。
 なんでこんな男が人徳だけは持っているのか・・・。
 私には理解できない話だな」

ルシフェルのつぶやきは誰に聞こえることもなく。
怪人たちの悲鳴に消えていくのであった。

――――

さて瓦礫に埋まった啓太に一体何が起きたのか?
それを話すには少々時間をさかのぼる。
時間としてはルシフェルが天井を崩して、啓太を生き埋めにしたあたりだ。
この時啓太はわずかに伝わる振動から、ルシフェルが攻撃してきたことを理解していた。
振動から、というのは他でもない。
シェルター状態になった啓太は、絶対傷つかない代わりに何も感じられなくなってしまうのだ。
強い攻撃でならその衝撃がかすかな振動として伝わるのだが、具体的に何をされているかなんてまず理解できない。

(ふん。何をする気か知らんけど・・・今のオレを傷つけられると思うなよっ!?)

事実啓太は自分が生き埋めになっていることなど、気づきもせずに大きく構えていた。
しかし振動はすぐにやみ、それきり何も感じなくなった。
てっきり攻撃の嵐が来るものと思っていた啓太は、どうかしたのかと疑問に思う。
しかし待てど待てど、何の反応もない。
外の様子を知ることのできない啓太は、だんだん疑心暗鬼に陥っていく。
もしかしたら、もう試合は終わったのか・・・と。
その頃外では啓太のピンチを理解した連中が騒ぎ出しているのだが、彼にそれを知る術はない。
そして彼はついにしてはいけない選択をする。
(・・・来ない、な。ホントに終わったのか?)

そう思った啓太は外の様子を確認するために、いったん防御を解除した。
それはつまり、瓦礫を支えていた柱の消失を意味する。

「・・・え?」

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