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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 50


「お、落ち着いてください、鬼瓦さん。
 司令室で何かあったんですか?」
「どうもこうもあるかッ!
 大塔寺のヤツ、反乱分子となる者をエサにして、ルシフェルを釣り上げるとか言い出しやがったッ!」
「え?反乱分子をエサにって、どういうことです!?
 それって他にも脱走者が出るって言うんですか!?」

鬼瓦の言葉の意味するところに、部隊のメンバー(翔影は不在のため除く)は目の色を変えて鬼瓦の元に集まった。
まぁ無理もない話だ。
ルシフェルの脱走だけでも大問題だというのに、これ以上裏切り者が出るなどたまったものではない。
それはヒーロー協会の失態以上に、戦力的にも避けなければならないことのはずだった。
詳しく話を聞こうとする一真たちであったが、今の鬼瓦にその質問に答えるだけの余裕はなかった。

「ンなこと知るかッ!それくらい、知りたかったら自分で調べろッ!」
「あ!?ま、待ってくださいっ!?」

鬼瓦は不愉快そうに近くの壁にもう一度八つ当たりすると、興奮冷めやらぬ様子でその場を後にした。
しかし裏切り者が出るかもしれない作戦のことを上層部に聞くわけにも行かず。
鬼瓦警部の怒りが静まるまでの間、彼らはもんもんとした時間を過ごすことになるのであった。

――――

それから数日後。

「・・・ふむ。それが今のおまえの限界か」
「ハー・・・ハー・・・。は、はいっ・・・!」
「す、すげえ・・・!」

淡々と語るルシフェル、肩で息をして答える刀。
感嘆の声を上げる啓太とギャラリー。
そしてバラバラにされた藁の束の塊が転がっていた。
ここはアパレント・アトム基地にあるトレーニングルームの1つ。
そこでルシフェルは所属怪人たちの実力を見定めていた。

「確かに未完成もいいところだな。
 1分以内に7種類の居合い抜きをする代償がそのザマでは、な」

冷たいルシフェルの言葉にぐうの音どころか、荒い息しかつけない刀。
しかし啓太たちは、これで未完成と言い切る刀の神経が信じられなかった。
それはまさに電光石火の神技だった。
左手の刀が抜き放たれたその瞬間、的である藁の束が根元から分断された。
間髪入れず、次々と刃が一筋の閃光となって藁の束を切り裂いていく。

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