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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 49


「何甘いことを言ってるんですッ!?
 正義を行使し!秩序を守る我々が!
 一介の悪の組織に引き下がれと言うのですかッ!!
 こうしている今も!ヤツらは姉からこちらの貴重な情報を奪っていると言うのに!」

まさかいきなりキレるとは思っていなかった警部は、期待のルーキーの子供っぽさに言葉も出ない。
出たところで、よけいに相手の怒りをあおるだけだったろうが。
そこに同じ5英雄である大塔寺が畳み掛けに来た。
「鬼瓦警部。今回敵の手に渡ったものはヒーロー協会の重要機密だ。
 一般市民のことを考えるその気持ちは尊重するが、ここで動かなければ、より多くの犠牲者が出る。
 それは君の望むところではないだろう?」

遠くを見越した小さな犠牲を選ぶか、目先の平和の後の大きな犠牲にするか。
犠牲を出さなければそれに越したことはない。
しかしそんなきれいごとが通じるほど、世の中甘いものでもないことも鬼瓦は重々理解していた。

「だが・・・どうやって連中を倒す?
 まさか町中を暴れまわって連中をいぶりだすわけでもあるまい?」

それは鬼瓦警部がアパレント・アトムとの全面戦争を選んだ瞬間だった。
だが彼とて正義の味方としての矜持がある。
もし彼らがそれを反故にするようであれば、この場で実力行使するつもりでそう訊ねた。
しかし彼らはそんな鬼瓦警部の考えなどお見通しだったらしい。
ミカエルは先ほどまでの怒気をどこかに忘れ、自信に満ちた笑顔でこう答えた。

「何、心配いりません。
 要は一般人に被害が及ばないように戦えばいいこと。
 ヤツらを釣るためのよいエサがあるのです・・・」

そしてミカエルはその作戦の内容を説明し始めるのだった・・・。

――――

プシッ。

「あ、隊長。お帰りなさ・・・」

鬼瓦の帰還に、部下の一真が出迎えようとしたその時。

「くそったれがぁッ!!」

ドガンッ!

鬼瓦は怒声を上げて壁に拳をたたきつけた。
歴戦の英雄であるその男の一撃は、変身もしてないというのに壁に穴を開け、その周囲にはクモの巣状のヒビを作っていた。
初めて見る鬼瓦の怒りっぷりに、一真だけでなくその場にいた部隊のメンバー全員が、何事かと鬼瓦を見る。
鬼瓦がみなの視線を一身に集める中。
一真ができるだけ相手を刺激しないよう、おそるおそる怒れる上司に声をかけた。

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