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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 48

「・・・どこにいるかまではつかめませんでしたが。
 ルシフェルが潜伏している組織の名前は判明してます。
 今、三方町で真っ向から我々にたてつこうなんて組織なんて1つしかないですからね」

ミカエルはそう言うと、まとめたばかりのレポートを大塔寺に提出する。
鬼瓦にはミカエルの言葉から、どこの組織のことを言っているのかすぐにわかった。

「・・・新興勢力『アパレント・アトム』、か。
 これまでも我々に数々の汚名と屈辱を味わわせてくれた組織が、ここでも出てくるとは・・・。
 これは我々にヤツらを討てという、天の啓示かね、鬼瓦警部?」
「さて、それはどうでしょう。
 ただ連中はあの戦いを経て以来、メキメキとその頭角を表してきている。
 うかつに手を出すのは危険かと判断しますが」

それに対し、警部は必要最低限の意見だけを述べた。
別に警部は啓太たちに恐れをなしたわけではない。
今あの町はやっと復興がおわったばかりだ。
もしアパレント・アトムが倒されるようなことになれば、周囲の有象無象たちが何をするかわからない。
悪の組織は決して許してはならない存在だが、そのために犠牲になるのはいつも無関係な一般人。
鬼瓦警部はそれを懸念して、そう発言したのだ。
しかし大塔寺もミカエルも、その消極的な言葉が気に食わなかったらしい。
再び空気に剣呑なものが混じり始めた。

「これはかの5英雄とは思えぬ物言い。
 敵が目の前にいるとわかっていて、なぜ正義を行使しないのです?
 それともあの大戦で、牙を失ってしまったのですか?」
「あそこまだ復興が終わったばかりだ。
 今、我々が介入すれば、いらぬ混乱を引き起こしかねないと言っているんだ」

ミカエルのあからさまな挑発に、鬼瓦はひどく冷静な態度で返す。
彼の言う『大戦』のことを持ち出されるのは少々気に障るが、それでこちらがキレては意味がない。
無鉄砲だったあの頃とは違うのだ―――。
鬼瓦はそう自分に言い聞かせていた。
しかしこの時彼は見誤っていた。
何がきっかけで爆発するかわからない、目の前の男の危うさというものを。

ダンッ!!

その瞬間、ミカエルの顔が一瞬にして憤怒に染まったかと思うと、突然協会支部を揺るがさんばかりの強烈な震動が警部たちを襲った。
激怒したミカエルが、床にヒビつきの足跡を入れるほどの震脚を放ったのだ。

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