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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 43

「それで、おまえはこっちに何を求める?」
クロックの目が細まり、ルシフェルの真意を探るように問う。
「保護と出来れば同盟を結びたい。ただ、そっちの部下になる気は全く無いとだけ言っておく」
「ふざけるなぁ!!保護だけでも図々しいのに同盟だと!!」
営業部部長がルシフェルの物言いに激昂する。
「ああ、同盟だ。そっちは情報と戦力が増強できる。こっちは保護してもらえる。利害条件は一致しているだろう?」
「戦力の増強だぁ?」
眉を顰める乱。
刀も言葉には出してないものの胡散臭く思っているようだ。
「そうだ」
すっと指を突き出し、夢と乱と薙を指す。
「おまえとおまえとおまえ。そいつらは一流と認めるがあとは三流にもならない、ゴミ屑にもならない粗悪品ばかり。仲良しごっこでぬるま湯みたいな頭の中身じゃ、使えん粗悪品程度の評価で十分だろう?」
夢たち以外の啓太も含めた怪人を見下した発言をルシフェルは躊躇もせずにした。

ザワッ・・・!

その言葉に、指差された夢たち以外の戦闘型怪人たちがいっせいに殺気立つ。
当然だ。
戦闘型怪人にとって、戦闘で役に立たないということは存在そのものを否定していることに等しいのだから。
ここが地上で、『表社会では大きな騒ぎを起こしてはならない』と啓太に教えられていなければ、彼女らは感情のままに正体を表し、ルシフェルに襲い掛かっていたことだろう。
だがそんな中。1人だけ周囲と違う反応を見せる怪人がいた。刀だ。
彼女は無言でルシフェルの隣に立つと。
無造作に白く輝く左手をつかむ。

「ちょっ・・・!?待っ・・・!?」

カ・・・キンっ。

それの意味するところに気づいた啓太は、あわてて刀を制止しようとした。
それが聞こえたのか、刀は左手首をつかんだまま、まったく動く気配を見せない。
間に合ったか。啓太が思わず安堵のため息をつこうとしたその時。

「・・・居合いか」

ルシフェルがテーブルの上のコップに目をやったまま、突然そうつぶやいた。
次の瞬間お冷の注がれたコップは、思い出したかのように3つに切断されて崩れ落ちた。
2つではなく、3つに切断してあるところが、彼女の実力の片鱗をうかがわせた。

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