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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 38


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そしてスポットライトは再び啓太のところに戻る。
近くの公園に避難した啓太は、そこで逃亡の援護をしてくれた護衛班と治療能力を持つ怪人を引き連れた夢たちと合流した。

「ご無事ですか、啓太様!?
 まったくあれだけ無茶はするなと説明したのに・・・!」
「す、すまん夢!
 説教は後で聞くから、今はそれよりあのコや護衛班の治療をしてくれ」

今にも始まりそうな説教を何とかあきらめさせて、治療を優先させる啓太。
説教を聞きたくないというのもあるが、今回は今までにないケースだ。
夢と出会ったあのゴミ捨て場でまた怪しい女の子を見つけたかと思ったら、いきなり見たこともない天使の集団に襲われた。
とっさの判断でその怪しい少女と一緒に逃亡するも、今度はヒーロー、それも団体さんが人目のあるところであることも無視して襲いかかってきた。
弱きと助けて強きをくじく市民のヒーロー、正義の味方のありえない行動。
さすがに啓太だって、これが異常なことだってわかる。
夢ならなおさらその重大さがわかっているだろう。
事実、夢は何か言いたそうにしていたが、結局部下たちに周囲の警戒とケガの治療を命じた。
その様子をルシフェルは、黙って観察していた。
今後の自分の身の振り方を決めるために。
そんな中、唯一この事態を収拾できる人物であろう夢がルシフェルへの尋問を開始した。
もちろん万一の展開に備え、さりげなく戦闘準備を整えた上で。

「おまえが我々に保護を求めてきた者か?
 お目が高いとほめてやりたいところだが、答えを出す前からトラブルに巻き込むのは勘弁してもらいたいところだな」
「ああ、そいつは悪かったな。
 私としても連中があんなに早く追いついてくるとは思わなかったものでな。
 しかしアイツらを相手に、よくこれだけの被害で済んだものだ。
 まだ私にはツキが残っているようだな?」

謝罪しつつも、軽口を叩くルシフェル。
しかし普段の彼女にしてみれば、これはかなりの高評価だ。
事実、不意をついたとは言え、次世代ヒーローと評判のミカエルたちを相手に逃げ切ったのだから。
しかしそんなことなど知らない夢は、ふざけた態度のルシフェルに態度を硬くせずにはいられなかった。
何しろ夢たちからすれば、命より大事な啓太をいきなり失いかけたのだ。
場の読めない、短気なヤツならこの場でルシフェルを殺そうとするかもしれない。
夢はそんな衝動と戦いながら、相手の軽口に付き合ってやった。

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