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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 29

普段は丁寧な言葉遣いをし、リーダーらしくしっかりしているミカエルだが、彼には欠点があった。
唯一の肉親であるルシフェルに依存してしまっていると言う点だ。
ミカエルはルシフェルさえ居てくれれば何も要らないと考えていた。
ルシフェルがヒーローになろうとした時も姉と離れたくないが故になったようなものだ。
姉に褒めてもらう度にミカエルは満足していた。
ミカエルにとっても自分の信念を突き進むルシフェルは自慢の姉だった。
だが、そのルシフェルは誰よりも縛られる事を嫌った。
彼女は自由を欲した。
もちろん、ミカエルとて姉と一緒に居たいが故に協会から脱退したい。
だが、杓子定規な彼の性格がそれを邪魔した。
だから、彼はルシフェルを協会に連れ戻そうとする。
協会に居ればずっと一緒なのだから。
「おちついてよ、ミカエル。あいつらの居場所が分かれば纏めて潰せばいいでしょ?さっき、あの女怪人にハッキングした時に仕掛けておいたんだ。チェイサーウイルスをね」
ウリエルがクスクスと笑いながら言う。
鋼鉄の顔面は表情が変わらない。
けれど、彼が何かを企んでいるのは言葉から読み取れた。
少なくともアパレント・アトムにとって良くない事を。
一方その頃、何とか逃げ出した啓太たちはというと。
「礼はいわん、あれ位どうにかなったからな。」
「なんだと、貴様無礼だろう。」
「まあまあ、バルキリー」
尊大なルシフェルの物言いにバルキリーは怒り、啓太はバルキリーを宥める。
「それと女、アジトに戻る前にウィルスを削除しておけ。大変なことになるぞ。」

今3人がいるのは、近くのコンビニの駐車場前。
さすがにここなら人目もあるので、襲ってくることはないだろうと踏んでのことだった。

「ウィルス?」
「敵をわざと泳がせてそのアジトを叩く。戦術の基本だ。
 ウリエルはその類のからめ手が得意だからな。
 まず間違いなくやられているだろう」

戦術の基本と言われ、啓太は内心で思わず『うっ』とうめく。
これが訓練教官をやっている怪人たちに聞かれたら、なんと言われるか。

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