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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 28

まさか得意の電子戦でやられると思ってなかった彼が驚くのも無理はない。
とは言え、相手は新型のアドヴァンスド・ヒーロー。
すぐに気を取り直して冷静さを取り戻した。

「ふ、ふんっ。何をやったか知らないけど・・・今度はそうはいかないよっ。
 電子戦でボクに勝てるヤツは1人もいないってこと、その身体にたっぷりと教えてやるっ!」
「あら、私ばかりに気を取られていいんですか?
 他の人たちは私より一味も二味も違うんですよ?」

ガキュンッ!

バルキリーが不敵な笑顔で言い返した次の瞬間。
ウリエルの背後にすさまじい衝撃が走った。
見れば背中に一筋の黒い線・・・否、亀裂がついている。
何者かの攻撃を受けたのだ。
それが誰なのか、探る間もなく、不可視の弾丸や石つぶてが次々とミカエル・ラファエル・ガブリエルを襲った。
しかしさすがはアドヴァンスド・ヒーロー。
違う方向から来ている見えない攻撃をかわしたり、防いでいたりする。

「なんと・・・まだ仲間がいたのか・・・?」
「・・・っ!」

たった1人の怪人のために仲間たちが攻撃する。
そのありえない光景に、ルシフェルが軽い驚きを覚えたその時だ。
その隙をついて今まで傍観者を貫いていた啓太が、ついに動き出した。
啓太はすばやくルシフェルをゴミ捨て場から拾い上げると、その勢いのままバルキリーも回収して逃げ出したのだ。
「逃がしたか……」
忌々しそうにラファエルは苦虫を噛んだような表情をする。
「見捨てるかと思いましたがなかなか仲間意識が強いようで」
先ほどの怪人の仲間の行動を見てガブリエルは逆に笑みを浮かべる。
敵とは言え、彼女は認めるところはきっちり認める方らしい。
「別にいいじゃんない。ルシフェルを連れ帰れって言われているだけだし」
ウリエルはと言うと逆に楽しみが増えたとばかりに声を弾ませる。
そして、ミカエルは何も喋らずに俯く。
ぎりぎりと拳を握ったまま、爪で皮膚が食い込み破って、血が出て滴り落ちる。
「赤の他人如きが……」
ぽつりと呟いた一言。
それはまるで津波が発生するような静けさに海が撓んだような一声。
「姉さんと僕の問題に邪魔しやがって!!それも僕の目の前で姉さんを連れ去りやがって!!」
弾けるようにミカエルが激昂した。
苛烈な視線で去った方を睨みつける。
何度殺しても飽き足らないとばかりに。

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