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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 27

このまま彼女はなす術なく、やられてしまうのか?
しかし啓太は精神攻撃を食らった心配こそすれ、バルキリーがやられてしまうとは思っていなかった。
彼女が、いやアパレント・アトムの女が、この程度のことであっさり負けるはずがないことを、啓太はその身をもって知っているからだった。

「なめ、ないで・・・!くださ、い・・・っ!!」
「何を余裕カマして・・・ッく!?」

バルキリーの言葉に嘲笑しようとしたウリエルの顔色が変わる。
それは当事者にしかわからない、大きな変化。
情報侵食していたはずのウリエルの精神に、何者かがハッキングを仕掛けてきたのだ。
その正体は言うまでもない。バルキリーだ。

彼女は自身の心をいじくられる中、彼の精神に侵入して反撃してきたのだ。
防御を放棄してこちらに攻めてくるなんて思ってもいなかったウリエルは、反射的に接続をカットした。
記号の世界から現実の世界へと帰還したウリエルは、目の前の女に幽霊でも見たかのような、驚愕の視線を向ける。

「お・・・まえっ、正気か?あの精神汚染の中、防御を捨てて攻撃してくるなんて・・・。
 い、いや、そんなことよりっ。
 何でボクより演算能力の劣るおまえが、ボクにハッキングなんてできたんだ!?
 それも精神汚染を受けていた中でっ!」
「ふ、ふふっ・・・あなたの固い頭では、言っても理解できそうにないから言わないでおきますっ・・・!」

毒を吐きつつ、一矢報いたことに凄絶な笑顔を浮かべるバルキリー。
あの時、彼女がやったことは至極シンプルなものだった。
バルキリーはウリエルたちを攻撃したとき、その髪は全て出ていたわけではなかった。
まだ一部が地中に残っていたのだ。
そして精神攻撃を受けたとき、バルキリーはその髪を地下の電気ケーブルと接続。
そこから周囲のコンピューターを取り込んで、ウリエルに反撃を仕掛けたのだった。
確かにバルキリーだけでは、ウリエルの演算能力に太刀打ちできなかったことだろう。
しかし彼女はそれを強い意志と工夫で、一瞬でもウリエルに打ち勝ったのだった。

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