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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 26

よく見れば針ではなく先端が尖ったワイヤーみたいな武器だった。
「なるほど〜。地面や壁の中を通してボクらを不意打ちしたんだ。だけどね……」
余裕が無いように見えるがそうではない。
確かにウリエルが熾天使達の中では一番重鈍ではある。
しかし、バルキリーは相手を見誤っていた。
現に攻撃した側であるはずのバルキリーが何かに耐えるように眉を顰める。
「その程度の演算処理速度で勝てるとでも思ってたの?脳の思考速度を直で制御しているボクにさ!!」
身動きすらしないウリエルに対し、バルキリーは制御ハックが押し返されるのを感じていた。
それ所か、自身すら犯されそうな薄寒さを感じていた。
「あはは、早く対抗しないと記憶、人格、性格、その他もろもろ上書きしちゃうよ〜」
「くっ……」
流石にヤバイと思ってバルキリーは突き刺さったワイヤー状の武器を外そうとする。
「駄目だよ。せっかく楽しい所を台無しにしちゃ。『左脳の帝王(スーパージーニアス)』と対決できるだけでも貴重な体験ものだよ」
だが、どういう訳か突き刺さっている部分ががっちり捕まれているかのように外れず、ウリエルはバルキリーへのハッキングを続行する。
左脳の帝王(スーパージーニアス)。
かつて、そう呼ばれた天才児が居た。
情報処理速度に自信のあった大人と四歳児のクラッキング対決という異色の対戦があった。
結果は四歳児が圧勝すると言う結末となった。
本人自らが望んで、脳に直接電極を埋め込んでコンピューターと接続したと言う天才児。
思考速度をそのまま演算処理速度として作用させる事により、ありとあらゆる電子防壁の無効化、情報奪取所か上書き侵食して相手の電子機器を乗っ取ることすら可能にさせた。
思考速度を直にしている為、どのような情報処理速度を誇っていようと簡単に凌駕する。
どのような人物かは全く知らず謎のままだが、情報処理の最頂点として君臨する電子世界の申し子。
その目の前にいるのがウリエルだと言う。
バルキリーとて話には聞いた事があった。
いや、バルキリーだけではなく、情報部なら誰もがその二つ名を聞いた事があった。
「ほらほら、しゃべっている間にもう侵食率が5%に達しちゃったよ」
まるで無知な子供が蟻を甚振り殺すかの如く、楽しそうにバルキリーに情報侵食するウリエル。

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