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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 22


そう語る啓太の視線の先には、夢と出会ったあのゴミ捨て場があった。
もちろんゴミ捨て場そのものは数々の戦いで壊され、新しく作り直されたものだ。
しかし、それでも啓太にあの当時の記憶を呼び起こさせるには十分だった。

(懐かしいな・・・。オレはここで夢と見つけたんだっけ・・・)

啓太はここで夢を見つけ、あわてて家に連れ帰った結果、悪の組織の総統となったのだ。
下心がないと言えばウソになるが・・・。
あの時は夢とお知り合いになって、後々いい思いが出来ればな、程度にしか考えていなかった。
それを考えれば、今の生活は夢のような話・・・のはずなのに。
今の状況を考えれば考えるほど、涙が出そうになるのはなぜだろう?
今日の天気が雨であることに感謝せずにはいられない、心中複雑な悪の親玉であった。
その時だった。啓太の新しい運命の歯車が回り始めたのは。

ヒュウウゥゥゥ・・・

「・・・ん?」
「啓太様っ!」

どこからか聞こえてくる妙な音。
その音に反応したバルキリーはあわてて啓太の背後に回り、周囲を警戒する。
まさか正体もバレてないのに、襲撃なんてあるはずないと思っていた啓太は、余裕の様子で何気なく上を向く。
すると。

ドサッ!

「うおっ!?」

黒っぽい何かが視界の端に映ったかと思うと、突然何かがゴミ捨て場に落下した。
一体何が落ちてきたのか?
驚いた啓太と警戒するバルキリーがのぞいてみると。

「な・・・!?」

そこには血まみれ傷だらけで横たわる少女の姿が。
少女が服を着ていること以外、まるっきり夢を拾ったときと同じそのシチュエーションに、啓太は直感した。
この少女はトラブルの元だ、と。
同じ経験をしたものとして、悪の総統として、ここは何も見なかったことにして速やかに帰るべきだ。
しかしこんなズタボロの少女を見つけておいて、放置するのも気がとがめる。
いったいどうしよう?啓太の中に生まれた迷い。
それが彼の運命を決定付けた。

「・・・!啓太様、下がって!」

突然顔色を変えたバルキリーが、啓太に注意を促す。
それにわずかに遅れ、動きのなかった傷だらけの少女がピクリと動いた。

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