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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 17

そこにやってきたのは、バニーの話を聞いてきた啓太。
彼女は啓太の姿を見るなり、疲れをまるで感じさせない様子で啓太を迎えてくれた。

「まぁ・・・!いらっしゃいませ、啓太様!
 見てください!ちょうど今、新しいアイテムの試作品ができあがったところなんですよ!」
「待て、待て!新製品のことは後でいい!
 それより聞いたぞ、バニー!
 おまえ、このところろくに休みもせずにずっと働いているそうだな!?
 オレのためにと尽くしてくれるのはうれしいが、ちっとは自分の身体も大切にしろっ!」

啓太の剣幕にバニーは一瞬きょとんとした顔になる。
きっとなぜ自分が怒られたのか、わからなかったのだろう。
だがすぐに思い当たったのか、彼女は苦笑しながら謝罪した。

「申し訳ございません、啓太様。
 最近、ちょっとうれしいことがございまして、つい・・・」
「『つい・・・』じゃねーだろ、このバカっ!?」

バニーの言葉に思わず激しいツッコミを入れる啓太。
この時啓太はバニーの言葉からある勘違いをしていたのだが、彼がそれに気づくことはなかった。
気づいたところでもう遅いというところもあったが。

それは、彼女が啓太の子供を妊娠したことと関係があった。
啓太に抱かれまくって、これ以上無い幸福を味わった時、バニーは啓太から、ポジティブ思考が根付くように様々な言葉をかけられた。
その記憶は、猛烈なまでの快楽と幸福の記憶と渾然一体となりバニーの頭の中に根付いていた。
だがそれだけなら、ゼドリンでも使って覚醒したような今の状態は説明できない。
ではなぜ、不眠不休で元気いっぱいでいられるのか。
妊娠によってバニーの体は、非常に活性した状態が常態化していたのだ。
これはバニーを作り出した技術者たちにとっても計算外のことであったが、あまりにも幸せな妊娠に、バニーは一種のクラスチェンジを果たしたのである。
子供を無事に成長させる為に元気いっぱいなだけでなく、本当に疲れ知らずになってしまったのだった。
それが後の開発部トラブルの増長につながっていくのだが・・・。
それはまた、別の機会に語るとしよう。
今はそれより先に語らなければならない物語がある。
これからの啓太の命運に大きく関わる、大事な物語が啓太の・・・。
いや、アパレント・アトムのあずかり知らぬところで静かに、だが確実に進んでいた。

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