PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 116
 118
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 118

真正面から突っ込んでも勝てる勝算があるか、こちらに正体をさらさせたいのかのどちらかだ。
あるいはその両方か。どちらにせよ、無傷で連中を抑えるのは無理と見るべきだろう。
ビルの管理を任されている最高責任者はほとんど迷いなく部下に指示を飛ばした。

「本部に緊急連絡!現在当社にネットワーク・フェアリーが接近中!
 現場の判断によりこれより交戦を開始する!
 なお、機密保持のため交戦後は『搬入口』はこのビルごと破壊する!
 至急、交戦の許可を願う!以上!」

謎の鉄巨人操るネットワーク・フェアリーとアパレント・アトム地上部隊。
その第2戦の幕が上がろうとしていた。
交戦の許可はすぐに下りた。
仮にも元仲間に対する義理人情はないのかと問いたくなるほどの早さで。
だがこの判断もちょっと考えれば当然のことだった。
彼女たちは事もあろうにアパレント・アトムのボスである啓太に刃を向けたのだ。
それだけで抹殺の対象となるには十分すぎた。
さらにネットワーク・フェアリーは元アパレント・アトム所属の怪人だ。
その造反が意図的なものであれ、そうでないものであれ、それだけで組織に多大な損害を与えている。
まして自分たちを使い捨ての道具であると理解している怪人たちのつながりは何よりも太く、そして短い。
たとえ竹馬の友でも敵とあらば迷わず切って捨てる。
それが犯罪史上最悪の存在である怪人たちの常識であった。
ビルに詰めていたアパレント・アトムの怪人たちは武器を手に取り、それぞれ配置につきながら迫りくるネットワーク・フェアリーへの迎撃準備を整える。
ビルにいる怪人たちの多くは非戦闘型だが、このような事態に備えて戦闘訓練を受けている。
武器を持ち、戦略・戦術を用いれば戦闘型に勝てずとも負けない戦いができるように仕込まれていた。
壊れた操り人形のようにやってくるネットワーク・フェアリー。
戦闘を歩く1体が1歩前に出たその瞬間、

バッ・・・!バババババババッ!!!!

いくつもの銃声が爆弾のように炸裂した。
窓や屋上に控えていた銃持ちの怪人たちが一斉にその弾丸を放ったのだ。
開発部特性の弾丸の雨を浴びたネットワーク・フェアリーたちはよけることもできず、ことごとくハチの巣にされて倒れていく。
だが怪人たちは容赦しない。
こんなあからさまな襲撃をしてくるなど、何か裏があるに違いないのだから。
突然の銃撃に近隣の住民たちが悲鳴を上げて逃げ惑う中。
ネットワーク・フェアリーは1人残らず地面に倒れ伏した。
事の次第をディスプレイ越しに別の場所から見ていた鋼鉄の巨人が思わず感嘆の口笛を吹く。
「ヒュウ♪元同僚に容赦のない攻撃だね〜?さすが悪の犯罪組織。
 で・も・ね?正義の味方はどんな理不尽な攻撃を受けてもそう簡単に負けたりしないんだよ・・・っと」

彼はそう言うと、突然背中からその鋼鉄の身体に似合わぬ1対の翼を広げる。
別に飛ぼうとしているのではない。そもそもその巨体よりはるかに小さいその翼では飛ぶことができない。
これは別の目的のために広げたのだ。

「さあ、正義執行の時間だよっ?
 さ、みんな立った立った。キミたちにプレゼントした『力』のすごさを見せてあげなっ!」

鉄巨人の背中の小さな翼がほのかに輝き、それと同時に撃ち殺されたはずのネットワーク・フェアリーたちの一部に変化が起こる。
やはり倒れたのはブラフだったようだ。
そしてここからが、アパレント・アトムの怪人同士の戦いの始まりであった。

ビクンッ!

鋼鉄の巨人の呼びかけに答えるかのように倒されたネットワーク・フェアリーたちの身体が突然動いた。
ビクンビクンと不規則に痙攣を繰り返し、その場で跳ね回る。

「「「「!?」」」」
「隊長!倒れたネットワーク・フェアリーに異変あり!」
「うるせえ!んなもん見ればわかる!
 全員一斉掃射!ヤツらが何かしてくる前にハチの巣にしてやれッ!!」

口の悪い隊長(♂)の命令に部下たちは言われるがままに再度銃弾を撃ち込む。
何をする気なのか知らないが、それをする前にハチの巣にされればひとたまりもないだろうと見越しての攻撃だった。
先手必勝と言わんばかりのその考え方は正しい。
跳ね回るネットワーク・フェアリーの死体たちに数えきれないほどの銃弾がめり込み、うがち。
容赦なくその肉体を破壊していく。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す