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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 116


「うあああぁぁぁッ!!」

殺意の雄たけびをあげて得意の居合で切り込む刀。
ルシフェルに肉薄するそのスピード、タイミングは依然と比べ物にならない。
だが対するルシフェルはあきれるようにそれを眺めているだけ。
そして刀の左手から刀身がきらめいたと思った瞬間!

「ぎッ・・・ぐ、ぐががああぁぁッ!?」
「バカが。攻撃するときにわざわざ声をかけるヤツがあるか」

ルシフェルは逃げるどころか逆に刀に肉薄し、抜刀中の鞘(左手)を押さえつけた。
骨を折らんばかりの握力に刀は抜きかけていた左手を離し悶絶する。
それを見たルシフェルはため息をつきながら、側頭部に鋭い蹴りをたたき込む。
見事に吹っ飛ばされた刀はすぐさま立ち上がり、反撃・・・うや迎撃か?
それに打って出ようとするが、脳震盪を起こしたらしく、立っているのがやっとの状態だ。

「何度言ったらわかる?
 多少痛いからと言って簡単に戦闘をやめるな。たとえ腕を引きちぎられても痛みに耐えろ。
 今のでおまえは死亡決定だ」
「うううっ!」
「そういうアンタも・・・ねっ!」

ふらつく刀に指導するルシフェルの背後から、啓太の側近、機械の支配者オート・バルキリーと体内に無数の獣の遺伝子を持つ獣人怪人の乱、そして元ザウルスペクター頭目レックス・ライダーの3人が襲いかかる。
戦うことをそのまま生きる目的としていたレックスはまだ人の言葉をしゃべる余裕があるようだが、乱とバルキリーにはそんな余裕はない。
乱は獲物を狙う肉食獣のようになっているし、バルキリーにいたっては完全に理性が吹っ飛んで獣と化している。
だがそこまで追い詰められているだけに、3人とも大きな変化を遂げていた。
レックス・ライダーはスピード重視の形態に変化しているのだが、その姿はT−レックスに少女の上半身ではない。
上半身は少女のままだが、その下半身は恐竜ではない。
人間の下半身を模した恐竜の下半身、とでも言おうか。
鋭く大きな爪や太くて長いシッポ、赤茶けた爬虫類の鱗などあるものの、その2本の脚はより強靭なものに生まれ変わっていた。
それと対照的に何の変化もないのは乱。
だが変化がないように見えるのは外見だけで、その体内では矢をつがえた弓の弦が引き絞られているような変化が起こっている。
彼女は死線さながらの戦いの中で気づいたのだ。
自分の力は常に全力で放つ必要のないものだと。
獲物を狩る肉食獣のように息をひそめ、間合いを詰め、確実に急所をつぶして命を絶つ。
その精神的成長が豪放磊落な彼女を冷静・冷徹のハンターに変えていたのだ。
しかしそんな中、まったく違う方向に成長した怪人もいる。バルキリーだ。
彼女の身体は女を捨ててしまったかのように筋肉で大きく膨れ、ボディビルダーも裸足で逃げ出すような身体に変貌していた。
それが口から泡つきの涎を垂れ流しながら襲いかかってくるのだから、いろいろとヤバい感じになってしまっている。
追い詰められた彼女は機械を操るコードを自らの肉体に張り巡らせ、限界以上の力を引き出しているのだが・・・明らかに引き出しすぎだ。
下手をすれば繰り出される一撃と引き換えに取り返しのつかないダメージを受けるのではないかと心配させるほどの変化であった。
「もぉらったあああぁぁぁッ!!」
「・・・!」

レックス・ライダーが叫んだ瞬間、彼女と乱の肉体に劇的な変化が起こる。
恐竜人間のような足が人間のそれに戻り、右手が巨大で凶悪な怪物のそれに代わる。
乱の腕も毛むくじゃらのアナコンダのような太く長いそれに変化してルシフェルに襲いかかる・・・が。

「・・・甘いっ」

ルシフェルは必要最低限の動きで2人の攻撃をかわすと右手でレックスをつかんで宙に放り上げ、左手で乱の伸びた腕を力任せに引っ張った。
投げられたレックスは空中で素早く体勢を入れ替えるものの、さすがの彼女も空を飛ぶことはできず着地の瞬間までどうすることもできない。
そこにルシフェルに吸い寄せられるように引っ張られた乱が、肩からの体当たりでビリヤードの玉のように弾かれ・・・レックスに向かって吹っ飛ばされた。

ドッ・・・ガアァァァンッ!

「ぐあああッ!?」
「・・・・・・ッ!!」

防御こそできたものの、踏ん張るもののない空中ではその衝撃からは逃れられない。
2人はそのまま壁に激突した。

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