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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 114

自分が壊れていようといまいともうどうでもいい。
今はただこの快楽を味わいたい。覚えておきたい。
怪人としてあるまじき問題の先送りで自分をごまかしながら、操は何度も何度も達し続けた。
だが何事にも終わりがある。
はしたなく快楽をむさぼる彼女の膣内で、啓太の剛直が突然暴発した。

「――――――!?」

これまでとは比べ物にならない、大きな波が操の意識を飲み込んだ。
なけなしの力を使い切り、腰の抜けた操は啓太の胸に倒れ込んでビクビクと不規則に痙攣を繰り返す。
そんな中、啓太は射精の快楽と操が倒れた衝撃で目を覚ます。
その驚きはあえて言葉にする必要はないだろう。
何しろ目が覚めたら、操とつながっていて。
普段の彼女からは考えられないような至福の表情をどアップでさらしていたのだから。
「なっ・・・!?な、なななな―――」

おそらく『何やってんだ、おまえ!?』とでも言いたいのだろうが、どうやら舌が回らないらしい。
アパレント・アトムのボスに収まって以来、多少は動じなくなってきていたが、やはりこういうところはまだまだ一般人のままらしい。
それが啓太の良さ・・・と言っていいのかどうかはわからないが。
一方、肝心の操のほうはすっかり昇天してしまっているようで。
慌てふためく啓太を前にしても彼女は小刻みに身体を震わせるばかりで、一向に返事をしてこない。
さっきから直純や別行動中のエレメンタル・ガーディアンたちの連絡がひっきりなしにかかっているのだが、それに気づくのはまだまだ先のようである。

――――

ところ変わって三方町のとあるマンションの屋上では。
関係者以外立ち入り禁止となっているはずの場所に数十人の人間たちが集まっていた。
否、それは人間ではない。怪人だ。
何者によって操られ啓太に反旗を翻した、笛上永遠こと『ネットワーク・フェアリー』、その生き残りたちだ。
その半分近くは啓太の襲撃に失敗し、返り討ちにあっていたが残りはすべてこの場所に集められていた。
彼らの中心にいるのは無骨な機械の巨人。
永遠を狂わせ、死に追いやった張本人が次の行動に打って出ようとしていたからだ。

「や〜れやれ。送り込んだ刺客はぜ〜んぶやられちゃったか。
 戦闘向きじゃないとは言え、キミたちちょっと弱すぎじゃない?」

機械の巨人の口から出てきたのはその無骨な外見からは考えられないような男の子の声。
しかし怪人の世界ではさほど驚くことではない。
子供のような容姿をした年老いた怪人や、男女どちらにもなれる怪人、犬の姿に頭脳を持つ怪人など、見た目と中身が一致しないものは掃いて捨てるほどいるからだ。
偽りの主人の苦言にネットワーク・フェアリーは誰一人として反応しない。
彼ら、あるいは彼女らはみなこの機械の巨人によってその意志を奪われ、ロボトミーと化している。
巨人にとって、彼らはただの使い捨ての駒。人間らしい意思など必要ないのだ。
そういう意味ではこの犯人はとても怪人の主人らしいと言えた。
だが別の見方をすれば、この巨人ほど怪人の主にふさわしくない人物もいなかった。

「ま、いっか。あっちはしょせんお遊びだし。
 凶悪犯罪者の怪人たちがお互いにつぶし合っているんだし、正義の味方のボクには痛くもかゆくもない話だよねっ」

そう。この機械の巨人はヒーロー協会に所属する正義の味方。
それも次世代を担うであろう、最新の技術をこれでもかと集めて作られた最新型。
ニュージェネレーション(新世代)・ヒーローとも言うべき存在であった。

「さてさて。かるぅいお遊びが終わったところで。
 そろそろ本題のルシフェル回収に動くとするとしますか」

どうやらルシフェルの関係者らしいこの巨人は、そう言うとロボットのように片膝ついて動かないネットワーク・フェアリーにすっと自らの手のひらを差し出した。
何もない―――そう思った瞬間、機械仕掛けの手のひらに穴ができ、そこから10本くらいのアンプルが出現する。

「さ、受け取って?
 弱っちくて仕方のないキミたちを時間限定でヒーローにしてくれる、ステキなお薬だよ♪
 あ、それとその装備じゃお話になんないから、ボクの装備もプレゼントしてあげるよ!
 いいよいいよ、遠慮しないで?どうせ使わなくて困ってたヤツだし。
 その代わり、ボクの名前が世間に知られるように、思いっきり活躍してくれればいいからっ♪」

無邪気な口調で語る機械の巨人。
その支配下にあるネットワーク・フェアリーたちは無言でその指示に従う。
すべては新しい偽りの主のために・・・。

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