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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 111


ゴルディアースが言い切るより先に、啓太は攻撃を仕掛ける。
手のひらに小さな盾を生成し、手裏剣のように投げつけたのだ。
しかし相手は正義の味方の中でも大物中の大物。
瞬時に腰のホルスターから銃を抜いて攻撃をはじく。
反撃することは十分にできた。殺すことも行動不能にすることもできた。
だが彼はあえてそれをしなかった。
啓太の突然の変化、行動に第3者の存在を感じたからだ。
その無粋な存在を見極めるために、あえて彼は防御に徹した。
しかしそれが裏目に出る。

ボワッ・・・!

「・・・っ。煙玉、かっ!」

防いだ手裏剣から白い煙がもわもわと湧き出し、あっという間に周囲の視界がふさがれる。
ゴルディアースのスーツの防御機能が働き、煙を体内に入らないようにガードする。
同時に煙の成分分析を開始。
思った通り、毒入りの煙だった。
チャフのように、電子機器を使ったサーチも防ぐ効果もおまけつきで。
肩に背負ったエルカイザーが気になるが、彼女ほどの実力者なら大丈夫だろうと周囲の警戒に集中する。
だが攻撃はいつまでたっても来なかった。
煙が薄れ、視界が回復するころには啓太は姿を消していたのだ。
お返ししたネットワーク・フェアリーごと。
それを見て、ゴルディアースは判断した。

(・・・彼のお仲間、か。
 前後の行動、発言から見ると、おそらく寄生・操作系の能力を持った怪人だな。
 このオレに動くまで存在を隠し切るとは・・・なかなかにやる)

なんと彼はわずかな材料から、操の存在、能力をあっという間に丸裸にしていた。
おそらく彼女が感情に駆られて攻撃していれば、それこそ返り討ちに遭っていただろう。
啓太の護衛という己の職務に忠実だったことが、彼女を救った形となった。

(しかし・・・解せんな。
 なんであの怪人は乱宮啓太にあんなに執着していた・・・?)

怪人は使い捨ての道具。
そのことをよく知っていた彼は、それだけに彼女の怪人にあるまじき発言に不可解なものを感じていた―――。

「はあッ・・・はあッ・・・!ん・・・ぐッ!」

その頃。安全なところまで無事逃げ切った啓太は、適当な廃屋の中で四つん這いになり、人間形態に戻って1人うめいていた。
ネットワーク・フェアリー捕獲で動き回っていた時に手傷でも受けたのか。

「―――ッ!」

すると突然、啓太の背中からズルリと若い女の上半身が飛び出してきた。
その姿はあたかもさなぎから脱皮する蝶のように。
だがこれは脱皮などではない。
今まで啓太の中に潜み続けていた異物・・・操が、久方ぶりにその姿を現したのだ。
操が上半身に続いて腰、尻、足とその全身をあらわにすると。
啓太は力なくその場に倒れた。
操に身体の支配権を奪われた時点で、すでに彼は意識を失っていたのだ。
彼女は倒れた啓太に近づくと、そっとその頬に自らの頬を摺り寄せた。
温かい。彼女はクロックから啓太の護衛を任じられて以来、ずっと彼の体内にいた。
もちろんそこでも啓太の体温を感じられたが・・・。
やはりこうして肌と肌を重ねるのは体内に潜んでいるのとは一味違った喜びがあった。
だが1つわからないことがある。
今まで啓太の護衛としてずっと潜んでいた操が、なぜ今このタイミングで表に出てきたのだろう?
その理由は彼女の次のアクションですべて明らかとなった。

「ああ・・・啓太様・・・けいたさまぁ・・・。
 私は・・・操は啓太様をいつまでもお慕いしておりますぅ・・・」

操は意識のない啓太にそう言うと、身体を摺り寄せながら頬をなめたりキスをしたりし始めた。
何だ、発情しただけか。
啓太と彼女の関係を知るものなら、そう判断して終わるだろう。
だが。アパレント・アトムの怪人ならば、今の彼女に何か違和感を感じ取ったに違いない。
彼女たち怪人は使い捨ての道具である。
主人・・・否、所有者を愛し、奉仕することなど当たり前。常識以前の話だ。
だがこれは違う。確かにありったけの愛情をこめているが、これは奉仕などではない。
彼女は今、道具でありながら啓太を求めるという、怪人としてあるまじき行為を行っているのだ。

「ああ・・・啓太様、啓太様ぁ。
 申し訳ありません、申し訳ありませんっ・・・。
 啓太様の道具ともあろうものが、自分の持ち主をほしがるなんてっ・・・!
 でも、でも止まらないんですっ。啓太様があの男に心動かされてから、私・・・どこか壊れてしまったみたいんですっ♪」

操はどうしようもない歓喜に満たされながら、ひたすらごめんなさいと謝罪を繰り返す。
相手は意識を失い、話すら聞ける状態ではないとわかっていながら。
それはおそらく、彼女の子宮に啓太の精液が満たされるまで終わることはないだろう。
その証拠に彼女はキスとハグだけでは物足りなくなって啓太の服に手をかけた。

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