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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 103

そんなエルカイザーの疑問に、助けられた朱鷺とみどりについてきた蒼はあざ笑うように答えた。

「あははっ!私の頭が弱点じゃないかって発想はビンゴだよ!その通り!
 でもね、私ばかり気にしすぎたのはよくなかったねっ!?
 まあ、私が強くてかわいいんだからしょうがないんだけどさっ!」
(―――!そうか、コイツの役目は・・・おとり!)
「自分で言うな、バカモノ。だが確かにこのバカの言うとおりだ。
 私たちが朱鷺の不死身しか能のないザコだとでも思ったのか?」

そう。すべてはこのための布石であった。
何も気づかない相手なら格下と判断してそのまま倒す。
朱鷺の不死身に違和感を感じるような相手ならば同格、もしくは格上としてみどりたちも能力を解放して倒す。
これが朱鷺・蒼・みどりの三位一体の基本戦術。
エルカイザーはまんまとこの罠にかかってしまったのだ。

「悔しいでしょ?無念でしょ?わかるわ〜。
 1発逆転のチャンスが、実はやられる最悪のタイミングになっちゃったんだから」
「せいぜい自分の愚かさを恨むのだな」
「「死ね」」

次の瞬間、朱鷺は口からビームを。
蒼は持っていた拳銃を至近距離でエルカイザーに乱射した。
それを全弾まともに食らったエルカイザーは悲鳴を上げる間もなく、全身を覆うアーマーの破片をまき散らしながら吹っ飛んだ。
後ろに控えていたエレメンタル・ガーディアンの3人は黙ってその様子をうかがった。
追撃はしない。攻撃線上に蒼たちがいたこともある。
だがそれ以上に、直属の部下であるみどりたちの強さは彼女たちが誰よりも知っていたからだ。
普通ならば即死。悪くても戦闘不能は間違いないだろう。
とは言え、これは生死をかけた命のやり取り。
エレメンタル・ガーディアンを含む6人は誰一人気を抜くことなく、エルカイザーの吹っ飛んだ先から目を離さなかった。
生きているのか?死んでいるのか?
みなが見守る中、朱鷺のビームによって立ち上る白煙が大きく揺らいた。

「・・・ッ!」
「チッ。朱鷺、初陣だからと油断したな?」
「ええ〜!?手加減なんてしてないよ!手ごたえだってちゃんとあったもんっ!」
「2人とも気を抜くんじゃありませんっ!敵はまだ生きているのですよっ!?」

普段は物静かなマヤの一喝であわてて目の前に集中する蒼たち。
そして白煙から出てきたものは・・・。

「ぐ・・・くっ!?うおぉぉぉ・・・っ!!」
『・・・・・・!!』

それを見たマリアたち6人は驚きを禁じ得なかった。
3人でもっとも攻撃力のある朱鷺のビームを食らって生きていることもさることながら、出てきたエルカイザーには驚くべき変化があったからだ。
砕け、あらわとなったエルカイザーの肌。
そこには女性にしかないはずのやわらかな双丘がのぞき、プルプルと揺れていた。

(お、女?そんな!?そんなことあるはずない!
 だって本部のデータベースにはエルカイザーは男だって・・・!)

マイたちが驚くのも無理はない。
正義の味方であったころのエルカイザーは男であったし、かつて夢がヒーロー協会にハッキングしたときもそのようにあったのだから。
詳しくは第1部を参照していただこう。
事実、2代目斬魔大帝エルカイザーこと沢渡黒河(さわたり・くろか)は、男としてデータベースに登録していた。
彼・・・否、彼女は兄である沢渡黒貴の敵を討つため、女であることを捨てていたから。

「・・・っ、ゴホッ!?ゴホッゴホッ!!」

みなが驚きで動けない中、エルカイザーは突然口元を押さえて吐血した。
無理もない。やわらかそうな双丘の下にある腹は赤黒く焼き焦げ、クレーターのような穴が開いていた。
幸い、着ていたスーツのおかげで貫通こそしなかったようだが、ダメージは深刻らしい。
木に寄りかかってようやく立っているというありさまだ。
とても戦えるような状態ではない。
みなぎる敵意こそすさまじいが満身創痍のエルカイザーを見て、マリアとマヤの心は急速に落ち着きを取り戻していった。
あのビームを受けて生きていたのは驚いたが、エルカイザーが女であったのは思わぬ朗報であった。
この女を捕虜として連れ帰れば、きっとアパレント・アトムに有益な情報が得られることだろう。
いや、それより洗脳してメス奴隷にすれば啓太やクロックが喜ぶかもしれない。
そのご褒美にムチでたたいてもらったり、腹が膨れるほどに精液を注いでもらえるかもしれない。
クロックの洗脳によって生まれ変わったメス奴隷としての本能が、ここに来て表に出てきた。

「朱鷺。そいつを縛りなさい。基地に連れて帰るわ」
「え〜っ!?コイツ、持って帰るんですか〜?」
「当たり前でしょ?ヒーローにしろ敵組織にしろ、何らかの情報は得られる。
 しかもそいつは女なのよ。け・・・ご主人様の奴隷としての利用価値もある上物よ。
 持って帰らない手はないでしょう。少しは考えなさい」
「は、はぁい・・・」

マリアに叱られて落ち込んだ朱鷺は、斬られた身体を再生させつつエルカイザーを捕縛せんとその手を伸ばす。

「さんざんアンタに切られた私としては、連れ帰りたくはないんだけど・・・これも先輩の命令なのよねー。
 ま、あきらめてちょーだいな」
「・・・っ!」

そして朱鷺の手から緑色のロープのようなものが何本も飛び出す。
どうやらそれでエルカイザーを捕縛するようだ。
ボロボロになった彼女の身体に緑のロープが絡みつく・・・その時だった。

「・・・。・・・え?え、ええっ!?」

朱鷺は突然のことに理解ができなかった。
おそらくその場にいた全員が同じ気持ちだったことだろう。
何しろエルカイザーに絡みついていたはずの緑のロープは切られ、満身創痍だった彼女が一瞬にして姿を消してしまったのだから。

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