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悪魔を孕んだ聖母達
官能リレー小説 - SF

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悪魔を孕んだ聖母達 5

沈黙を破って最初に口を開いたのはカルラだった。
「ありがとう、ユーリ。じゃあ次…」
カルラはさっきから一言も喋っていない少女に向かって言った。
「……」
「どうした…もしかして口がきけないのか?」
少女はフルフルと首を横に振った。
「なら教えて欲しいんだ。お前の名前を…」
「…エイミー、12歳」
「……」
「……」
「…え?それだけか!?」
「無口ってレベルじゃないわね」
「責めないであげてください。きっと辛い体験をして心を閉ざしてしまったんです」
「大丈夫、そのうち話せるようになるよ」
お互い名乗り合った5人は、とりあえず休息を取る事にした。皆クタクタに疲れていたのだ。
「全員眠ってしまっては危険だ。私が見張りをしてるから、みんな休んでくれ」
「良いの?カルラさん」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわよ…」
「ありがとうございます」
「……」
そう言うと4人は、小屋にあったボロボロの布にくるまって泥のように眠った。

※※※※※※

ガゥン!!

その頃。研究所の所長室で1発の銃声が鳴り響いていた。

「この、バカめッ!女たちの逃亡を許すとはっ・・・!」

額に穴を開けられ倒れた責任者に、中年の男・・・所長は憎々しげに吐き捨てた。
怒り冷めやらぬ所長は、物言わなくなった屍に数発蹴りを入れる。

「はあ、はあっ・・・!おい!誰かこのバカの死体を片付けろ!不愉快だ!!」

そして部下に命じて死体を片付けさせると。
いらだたしげにイスに腰掛けた。
研究所の最高責任者である所長のイス。
その座り心地にほんの少しだけ怒りの冷めた所長は、無能な部下が引き起こした事件の大きさにため息をついた。

(よりにもよって実験中の女たちを、それも6人も逃がすとは・・・)

それは自分の立場のみならず、自分の命、下手をすればこの国の存亡に関わる大事件だった。
何しろ逃げた連中はまだ未完成である生物兵器の実験体。
何が起こるかわからない、危険極まりない存在なのだ。
幸い、そのうちの1人は勝手に死んでくれたものの。
他の連中もそうなるとは限らない。
生まれてくるものをコントロールできるものが出たら?
自分の技術が他国に渡ってしまったら?
人類の手には負えない、危険なものが生まれてきたら?
考えれば考えるほど、絶望と恐怖に心が染まっていく。
なんとしても、逃げた女たちを確実に捕獲、もしくは殺害しなくてはならない。
自分の生命と立場を守るためにも、所長は逃げた女たちを見逃すわけには行かなかった。

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