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悪魔を孕んだ聖母達
官能リレー小説 - SF

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悪魔を孕んだ聖母達 4

「じゃあまず私から…」
長髪の女が進み出て言った。
「私の名前はクリスティーナ。皆クリスって呼ぶわ。歳は22。研究所に連れて来られる前は歌手をしてたの。もしかしたら、知ってる人も居るんじゃないかしら?」
誰も知らなかった。
「ま…まぁ良いわ。捕まったのは私の歌の歌詞が反体制的だったから。とんだ因縁よねぇ」
「…何の歌だったんですか?」
「将校と娼婦の甘〜い恋の歌♪」
「ああ…そりゃ捕まるな」
「なんですって!?」
「よし、次はお前だ」
短髪は怒るクリスを無視してお下げ髪の少女を指差した。
「え…私ですか?えっと…名前はエリシア。17歳です。父は保健省の幹部でした…」
「お嬢様じゃないの!それが何でまた…」
「その父が国家反逆罪で処刑されたんです。父は伝染病に苦しむ人達のために外国製の薬を輸入しようとしただけなのに…そして反逆者の家族という事で、母と私と妹も逮捕されました。私は研究所に送られましたが、母と妹はどこでどうしているのかすら…」
「酷いわね…」
「…済まない」
なぜか短髪がエリシアに頭を下げた。
「どうしてアナタが謝るんですか?」
「エリシア、お前のお父上は我々の協力者と間違えられたのかも知れないんだ」
短髪は話し出した。
「私はカルラ。年は20。反政府レジスタンス(抵抗組織)の一員だ」
「もはや逮捕された理由の説明も要らないわね」
「黙って聞け。私達レジスタンスは外国から武器や弾薬を密輸している。食料や医薬品と偽ってな」
「あ…じゃあ父はそれと間違えられて…」
「その可能性が高い。本当に済まない!」
「カルラさんが謝る事はありませんよ。悪いのは良く調べもせずに父を反逆者と決め付けた治安警察です」
エリシアはカルラを恨む気は全く無かった。
「さあさあ、気を取り直して自己紹介の続きよ。次はアナタがやりなさい。ほら、涙拭いて」
クリスはユーリの肩に手を置いて促した。
「うん。ありがとう、クリスさん。私はユーリ、16歳。私の家は田舎町のパン屋だったの。お父さんはいつも『小麦も卵も満足に手に入らないで、美味いパンが焼けるか!』ってボヤいてた。そしたらそれが治安警察の耳に入っちゃって一家全員逮捕。
私は研究所に送られたけど、お父さんとお母さんはどこにやられたかも分からない…。辛くて毎日泣いてた私を慰めてくれたのがレイラだった。それから私達はいつも一緒だった。レイラには私くらいの妹がいたんだって、私もお姉ちゃんが出来たみたいだった…」
ユーリの目に再び涙が浮かぶ。一同しんみり…。

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