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悪魔を孕んだ聖母達
官能リレー小説 - SF

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悪魔を孕んだ聖母達 16

だが、いつ襲い掛かられるかも分からないこの状況では落ち着いて話も出来ない。なんとか交渉を成立させたいところだ。
「この場から離れてくれるなら危害を加えるつもりはない」
「ガァアッ!」
言葉が通じているのかいないのか、獣の雄叫びをあげ威嚇してくる。
「この場で死にたくなければ言う事を聞け」
「グルル…ウウゥ」
どうやら脅しが効いているらしく、黒豹達は戦車のある場所にまで追いやられた。
彼等の俊敏性と人数差を考えれば一人を犠牲にしてでも飛びかかることも出来るだろうが、仲間の誰かを犠牲にする事に躊躇しているように見える。
彼等は黒豹の化け物になってしまったが結局は末端の兵士でしかなく、味方に犠牲を出してまで目的を果たそうとするほどの忠誠心は無かったようだ。
「よし、そのまま動くなよ」
「グゥウッ」
この姿で他の兵士と遭遇するわけにもいかないと本能的に悟っているのか逃げ出そうとはしなかった。1ヵ所に固まって身構えている。
「そうか、お前らも行く場所が無いのか」
彼等も自分達がどうなるのか不安で仕方ないのだ。
彼等に人間だった頃の記憶があるのかはゲンナディーにはわからなかった。ただ、少なくとも知性を持たない獣の思考で行動しているようには見えなかった
「安心しろ、俺が何とかしてやるさ」
そう言って銃口を下ろしてやった。
「ウウゥウゥ…」
その途端、黒豹は力無くその場に座り込んでしまった。どうやら緊張が解けてしまったらしい。
無理もない、彼等にしてみれば素っ裸で命の危機に晒されていたようなものなのだ。

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