PiPi's World 投稿小説

寄生侵略者
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 4
 6
の最後へ

寄生侵略者 6


廃墟の町を彷徨い歩く俺、だが、体力はいつの間にか限界だったようだ。
力尽き道の真ん中で倒れてしまう。
霞む意識の中、自動車のエンジン音が聞こえた気がした。

人の話し声で目が覚める。
見た事の無い部屋、俺は町中で倒れていた筈では?
そんな疑問を考えていると、白衣を着た男が近付いてくる。

「おや、目が覚めたようだね。身体に不調はないかね?」
「……」
「ふむ、ケガはないようだね。あとで何か食べる物を持ってこさせよう」

医者と思われる男の診察を受けながら、俺は疑問をぶつけてみた。

「ここはどこだ?」
「ん?ここかね、ここは自衛隊……いや、今は防衛軍だったな、その基地内の避難所だ」

そう言うと男は部屋のカーテンを開け、外の景色を見せてくれた。
そこには戦車が数台並び、兵士のような格好をした者が忙しなく動き回っていた。その奥には全体がガラスのように透けた砲台のような物がある。
「あそこに見えるのが、この国を守る最終兵器だよ」
誇らしげに話す男だったが、俺にはそれが何なのか分からなかった。
ただ漠然と"強いもの"という印象だけが残った。
ふと自分が全裸なのに気付く。だが、白衣を着た男は特に気にする様子もなく話を続ける。
「君の名前はなんと言うんだね?」
「名前…」
名前が思い出せない。
何故だろう、自分の記憶が曖昧になっているような感じだ。
戸惑う俺の様子に気付いたのか、医者は優しく語りかけてきた。
「無理もない。君は奴等に捕まってからずっと眠ったままだったのだ。記憶に混乱があっても仕方ない」
そこで捕まっていた時の事を思い返す。
眠らされている間、繰り返し学生時代の夢を見ていた。教室に飛び込んできた掃除機みたいな化け物が次々とクラスメートを吸引、そして俺を含む男子生徒達を素っ裸にしていく光景。あの悪夢の中で聞いた『適合者』という言葉。あれは何の事だったのだろうか?
ずらりと並ぶチンコを前に、興奮気味に語る体育教師の宮田の姿を思い出す。…そういえば、あいつも夢の中に出てきたな。
あいつが内通者だったのだろうか。
他にも何人かのクラスメートの顔を思い出したが、何故か名前までは思い出せない。
まぁ、いいさ。そのうち思い出せるだろ。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す