PiPi's World 投稿小説

寄生侵略者
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 1
 3
の最後へ

寄生侵略者 3

「……なんだ今の動きは!? 身体が自然に動いたぞ?」
「チッ……肉体の改造は終わっていたか、面倒な奴め」
「……改造? この力の事か、お前達、俺に何をした」
「ここで処分される貴様が、知る必要などないわ!」

自分の身体の変化に戸惑いつつも、今は目の前の俺を殺そうとしている女を、どうにかしないとと頭を切り替える。
残っていた女は槍を突き出すと、先程の2人以上の速度で突撃してきた。
女の姿がボヤけて見える。
速過ぎる動きを、かろうじて攻撃を捌くだけで、精一杯となり反撃の手が全く出なくなる。

「所詮は肉体だけの改造のようね、身体に技術が追いついていないわよ」
「くっ……この、うっ!」
「失敗作のクセに、完成品の私達の手を煩わせた罪、死んで償いなさい!」

そう言うと女は、一旦俺から距離を取り、攻撃の手を止める。
そして俺の胸に、埋め込まれている物と同じ石に、手を当てると何やら集中し出した。

「……セットアップ」

女が呟くとその途端、胸の石が光出す。
一瞬の閃光の後、女が立っていた場所には、全身鎧に包まれた、人型の物が立っていた。
かろうじて胸に当たる部分の2つの突起や、金属で再現のされた長髪などから、それが女で有る事が伺えた。
そして、その姿は朧げな記憶にある、侵略者の姿に近かった。

「手間を掛けさせおって、だがこれで終わりだ」

鎧を纏った女は、より攻撃的な形に変化した槍を、俺に向けると躊躇い無く突進した。
攻撃を逸らすのでやっとという感じの所に強烈な突進攻撃。
俺は自分の死を予感した。
どうにかしてこの女を無力化しなくては、もはや手加減なんて言ってられる場合ではない。
鉄パイプでぶん殴るくらいでは駄目だろう。どう見ても相手の方が堅い。

この状況を好転させるにはなにか奇抜な動きが必要だと思った、普通に左右にかわすだけでは女に斬られる。
女が予想しない動きをしなければ…。

いや、相手の予想を上回る唯一の突破口は・・・。

「ナニッ!?」
甲冑のなかで、女の驚愕の声があがる。
と同時に、女の槍がオレにまっすぐ打ち込まれる。
「バカめ、死にたいのかッ?」

オレは夢遊病者のようにただ、まっすぐ前進する。
女の槍の切っ先に向かって。

そして。

貧弱な鉄パイプを、ただ正面に突き出した。

「な、なんだとッ?」

鞘に収まる剣のように、鉄パイプのなかに槍が取り込まれてしまう。

そのまま女の槍を奪ったオレは、数歩後退して距離をとる女に、そのまま突進していった。

胸の石が、オレの気迫に答えるように虹色に輝き始める・・・。
胸の石を中心に、虹色に輝く金属が俺を包み込む。
中世の重甲冑のような、しかしほとんど苦にならない重さ。
「くっ…か、返せッ!」
鎧女が槍を奪い返そうと掴みかかる。
だが。
鞘状に槍が収まっていたパイプが、瞬時に延びて、槍そのものを包み込み、女の手を拒む。

「何だとッ?」
武器をあきらめた女が、後ろに数メートル飛び退がる。
「貴様……周辺物質の特性を取り込むかッ?………出来損ないめッ!!」

女の言う通りだった。
甲冑姿の俺が手にする短槍は、パイプ状の鞘につつまれている。
そしてその槍は、俺の股間から生えていた。
まるで、皮に包まれた男性器のように…。

見た目を気にしている場合じゃない。
甲冑女が手刀を目まぐるしく突きながら、俺めがけて突進してきたのだ。

俺は女の攻撃を避けようともせず、ただ股間の槍を構えただけだった。
だがそれが、俺の「反撃」開始の合図だったのだ。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す