モンスターハーレム 63
「挙句に『おまえたちにも興味が湧いたからちょっと研究させろ』とか言ってメスを持ち出して迫ってくるし・・・」
く、苦しい・・・。意識が遠くなってきた・・・。
「ミミは・・・ひっく、ミミはホントに怖かったですようっ!」
ギュウウゥゥッ!
抱きしめる力がさらに強く込められている。
ああ・・・オレはここで死ぬのかもしれねえ・・・!
「・・・感動の再会に水を差すようですが」
「ふえ?」
あ、あの大メイドの声がする・・・。
もしかしたら助かるかもなー・・・。
「いいんですか?最愛の方が窒息死寸前なのですが」
「え・・・ああっ!?」
ポンッ!
朦朧とする意識の中で、ミミがようやくオレを悪魔のような胸から開放したのを感じた。
それにしても・・・ポンていったい何の効果音だよ・・・?
「らっ、ラグさま!ラグさま!し、しっかりしてくださいぃっ!?」
ガクンガクンとミミがオレの体を揺らす。
ちょ、そんなに揺らすな!
「し、しっかり!しっかりしてくださぁい!
し、死んじゃダメですよぉっ!?」
バシンッ!
気つけのつもりかミミのビンタがオレを襲う。
「や、約束してくれたじゃないですかっ!
私を守ってくれるって!」
ビシ、バシ、ビシッ!
い、イタッ!?ちょ、マジ痛いって!?
しかしビンタの止む気配はまるでない。
「まだご主人様の子供も産んでないのに!
私より先に死なないでくださぁ〜いっ!!」
ビビビビビビビッ・・・!!!!
嵐のような連続ビンタを食らったその瞬間、オレの中で何かが・・・。
ブチッ!
キレタ。
「痛いっつってんだろ、このバカウサギィーッ!」
「へ?」
ぼぐしゃあっ!
左手でミミ(と思われる女)の胸倉をつかみ、右手を硬く握り締めて・・・ブン殴った。
それも全力で。
手ごたえとともにその女は壁に叩きつけられ・・・めり込んだ。
「ハーッ、ハーッ!」
明らかにやりすぎ・・・いやさ『殺りすぎ』だが、オレはいろいろたまってたモンを吐き出せてスッキリとした開放感を味わっていた。
「・・・仮にも自分の部下にそこまでされるとは・・・。
恐ろしいを通り越していっそ清々しいですね」
「ハッ!?」
大メイドのツッコミに、オレはようやく正気に返った。
覚悟を決めて部屋に入ろうというシーンは、何者かの乱入により地獄絵図と化していた。
無表情ながら驚愕の視線でオレを見る大メイド。
そしてオレの視線の先で壁にめり込むミ・・・ミ・・・?
「・・・誰だ、これ?」
壁にめり込んだその女を見て、オレは思わずそうつぶやいた。