モンスターハーレム 62
・・・と。ここまで覚悟を決めてやってきたのに。
バタンッ!バキィッ!
「ぐへっ!?」
突然ドアが勢いよく開き、オレは顔面を再びしたたかに打った。
大メイドは倒れるオレを助けるどころか早々に見捨てて避ける。
・・・ああ、わかっていたよ、そんなこと!
ドサッ、ガンッ!
「かぷっ!?」
そして今度は倒れた勢いで今度は後頭部を強打し、さらにその反動で舌を噛んだ。
「やだやだ〜っ!こっち来ないでくださいぃ〜っ!」
「ゲベッ、グボッ!?」
そして非情なるとどめとばかりに部屋から飛び出してきた何者かの足が、勢いよくオレの下腹部と顔面を踏みつけていった。
そこから先の記憶はよく覚えていない。
どんなリアクション芸人もここまでは体験したことがないであろうほどの激痛に耐えるのに必死だったから。
「・・・・・・!・・・・・・!」
もはや痛みで声も出せずにもがくオレ。
普通に考えれば死んでもおかしくない一撃・・・いや連撃だったが、それでも生きているのはオレが魔物であるからだろうか?
もしそうだとすればこの時ほどそれを恨んだことはないだろう。
ああ、お父さんお母さん、私を丈夫に生んでくれてありがとうってか?クソッ!
「ん・・・あれ?ラグ、さま?」
そんな時だった。
不運続きのオレに、頭の上から聞きなれた言葉が聞こえてきたのは。
「あ・・・アハッ♪ラグさまだ・・・。ラグさまだ。
ラグさまだ、ラグさまだ、ラグさまだぁっ!!」
むぎゅぅっ!
「ムガッ!?」
その声の主はオレの名前を連呼すると、いきなりオレを抱きしめた。
女特有のやわらかい胸の感触がオレの頭を包み込む。
「ラグさまぁっ、ミミは・・・ミミはとっても怖かったですよぉっ!」
ギュウウゥッ・・・!
ミミと名乗る女はそう言うとさらにきつくオレを抱きしめた。
く・・・苦しい。息ができなくなってきた。
「目が覚めたらラグさまはどこにもいないし、あのルキュメアが私とオルゾスさまを人質にするとか言い出すし・・・」
い、いやそんなことより早くここから開放してくれ!
ほらタップ!タップしてんのに気づけ!