モンスターハーレム 61
ザッザッ・・・
踏み入れた隠し通路の中は明かりがないためかなり暗く、先が見えない。
大メイドは2分で自分の主の元に着くと言ってたが、大丈夫だろうか?
向こうは手探りをする様子もなく歩いていたからな、それで2分といったんかも知れな・・・?
「えっ?」
その時だった。今まではっきりと感じられた床の存在がいきなりなくなったのだ!
予想外のアクシデントに、当然オレはバランスを失って前へと倒れる。
「でっ!?」
痛みを感じた次の瞬間、倒れたオレの身体は勝手に全身を始めていた。
「な?な、な、な・・・!?」
何なんだと言う頃にはオレの体はものすごいスピードで移動していた。
そして何が起こったのか、わかった瞬間に・・・!
どかんっ!
「ぐえっ!?」
何かゴツゴツしたものに顔面からぶつかっていた・・・。
「ぐぅおおおっ!?」
あまりの痛さにその辺をローリングしながらオレは悶える。
きっとその光景を誰かが見ていたらこう言うだろう。
「・・・何、三流お笑い芸人みたいなリアクションしてるんですか?」
・・・と。『三流お笑い芸人』ってのが何なのかは知らないが、少なくてもいい意味じゃないだろう・・・って!
起き上がるとあの大メイドが立っていた。
その顔は無表情だが、その目には呆れとも侮蔑ともとれない感情が見て取れる。
「ちゃんと私の後をついてくるように言ったはずですが?」
「あんな真っ暗闇の中でどうやっておまえの姿を見つけろ言うんじゃい!」
ケガ1つ負ってないところを見ると、おそらくあの隠し通路の構造を知っていたんだろう。
それならそれでオレに教えやがれってんだ。
おかげでこっちはしなくてもいいケガを・・・!
「まぁ、ケガがないようで何よりです」
・・・ねぇ、気づいて?私の顔の大ケガ!
「ではどうぞこちらに。ここが主の部屋の入り口になります」
・・・ガンムシですか。そうですか。
用が済んだら速攻犯すッ!ぜってえ泣かすッ!
オレは心にそう固く誓いながら大メイドの指し示す『部屋の入り口』の前に立った。
例によってそこはただの石造りの壁にしか見えない。
「・・・で?ここの入り口はどうやって開けんだ?
ボタン式?回転ドア?それとも引き戸?」
しかし慣れとは恐ろしい。
何度も体験しているうちに、オレは自然とこんな冗談を言えるようになっていた。
ちっともうれしくないけれど。
そんなオレの対応に大メイドは少々驚いたようだ。
目が動揺してかすかに動いている。
「・・・引き戸式になっています。
その辺のレンガをつかんで引いてください」
ホントにあったのかよ!とツッコミたいのを何とか我慢して適当なレンガに手をかけて。横に引っ張った。
ガラガラガラ・・・!
すると石造りの壁は簡単に移動し、今度は普通のドアが現れた。
どうやらこれが正式な部屋への入り口らしい。
オレはためらうことなく、ドアノブをつかんで回した。
人質となったバカウサギ(+α)と自分自身のために。