モンスターハーレム 174
「暴走したオマエは本能に任せてアスタナビュートを犯し、暴走直後に襲いかかってきたテス率いる反対派の連中までも毒牙にかけた」
な、何ぃっ!?
そんなオイシ・・・いやいや、とんでもないことを、オレがっ!?
ちくしょうっ!散々お世話になったアスタナビュートの喘ぐ姿・・・じゃなかった、彼女になんてひどいことをしちまったんだ、オレは!
半ばタダ漏れ状態の本音を隠しつつも、オレは心の中で後悔する。
「おかげで今、このラボにはオマエの犠牲者たちでごった返している。
モルモットは多いほうがいいとは言ったが、これほど大量に連れて来られて、こちらはいい迷惑だ」
『犠牲者』という単語に、オレはあることを思い出す。
そうだ!今は記憶のないときの話をしている場合じゃないッ!
オレは動けば激痛に悶えることすら忘れてサルスベリにすがり付いて尋ねた。
「サルスベリッ!ミミと狭霧たちはどうしたっ!?
確かアイツら、オレの毒ガスをモロに食らって苦しんでいたはずだ!
どうなったんだ!?教えろっ!!」
あまりに強く服を引っ張ったものだから白衣が千切れ、サルスベリの以前とは比較にならない魔乳が素肌とともにあらわになるが、それどころではない。
オレの大事な女と仲間は絶対に守らなければ。
そんな理屈も何もない、ストレートな感情が今のオレを突き動かしていた。
「早く教えろッ!早くッ!!」
オレは激痛に耐えつつもアイツらの容態を聞こうともがいた。
するとサルスベリは呆れたようにため息を1つつくと、いきなり手の甲でオレの顔を引っぱたいた。
「・・・落ち着け。まだ誰も死んではおらん」
「・・・!ほ、本当か!?」
「ああ。だが狭霧とか言う人間が少しまずいことになっている。
人間であったために、オマエの毒ガスに耐え切れなくなったようだ」
瞬間、オレの心は絶望の暗黒に包まれた。
守れなかった。また守れなかった。『あの時』みたいに・・・。
仲間を守れなかった・・・!
自分でもできない言葉とともに、無念の思いがあふれ出す。
しかしこのときをオレは忘れていた。
サルスベリという、マッドサイエンティストの性格を。
「安心しろ。オマエが犠牲になればみんな救われる」
「! ほ、ホントかっ!?」
「ああ・・・本当だとも・・・♪うそは言わん・・・♪」
ゾクッ・・・!
な、何だ?今の忌まわしい感覚はっ!?
今のサルスベリの目を見た瞬間に、背筋が凍りついたぞ!?
まるで獲物を食らおうとするかのような、肉食獣の瞳に、オレは無意識のうちに後ずさる。
ズキィッ!
「いっ・・・!?いだだだだっ!!」
その時、今まで動いてきた分の痛みが一気にオレに襲いかかった。