モンスターハーレム 164
ようやく石の拘束から開放され、ここまでやってきたオルゾスだった。
慌てて穴のほうに振り返ってみると、そこにはサルモネラだけでなく、アンジェラ・ナナリ・ラムレーネ・リザ・オリオール・狭霧と見知った連中が驚いた表情でこちらを見ていた。
・・・ん?・・・違う?
彼女らが見ているのはオレじゃない。
これは・・・オルゾスを見て驚いてんのか!?
一体どういうことだ、と思った瞬間、両手に挟まれたオルゾスの刀が下に向けてさらに力が加えられる。
「くあっ!?て、テメエ、オルゾスッ!何トチ狂ってやがる!?
は、早く剣を引っ込めねえかッ!?」
「ふ・・・。ふふふ・・・」
「・・・。お、オルゾス・・・さん・・・?」
オレの必死のツッコミに薄ら笑いで答えるオルゾスの様子にただならぬものを感じたオレは、今度はできるだけ刺激しないように声をかける。
しかし返事は返ってこない。返ってきたのは不気味な笑顔と笑い声だけ。
「ふ・・・ふふ・・・。私たちが暴走したオマエを助けようと必死になってやってきてみれば・・・。
恩を仇で返されるは、テス将軍の攻撃の巻き添え食らうはと散々だった言うのに・・・」
「は?暴走?恩を仇で返す?」
「騒ぎの張本人は私のことなど無視して新しい女囲ってるってか?
ハハッ、これ以上人をコケにした話があるか?」
「・・・ヒッ!?」
その瞬間、自虐的な笑みを浮かべていたオルゾスの顔が般若と化した。
そのあまりの恐ろしさに、さすがのオレも思わず悲鳴を上げた。
「もういいッ!今すぐここで死ねッ!
この女たらしのできそこないがァッ!」
「ちょっ・・・?!待っ・・・!?」
オレが理解できないうちにブチ切れたオルゾスはオレを一刀両断しようと更なる力を剣に込める!
テスとのHでうまく力の入らないオレは、わずかではあるが、脳天と剣の距離と少しずつ縮められていく。
お、オレの短すぎる生涯の中で、これほど死の恐怖を実感できたことがあっただろうか!?
いや、ないッ!!(反語)
向きをそらして逃げたくとも、後ろにはテスがいる。
まさに絶体絶命の大ピンチだった。
「・・・・・・ッ!」
「なっ・・・何をしているオルゾスッ!?
落ち着けッ!?」
オレの生命のピンチに、我に返った狭霧とサルモネラが慌ててオルゾスを拘束する。
「ええい、放せッ!?この淫乱性欲大魔王に、一太刀食らわせねばならんのだぁッ!?」
怪力のサルモネラに押さえられてなおも暴れるオルゾス。
そんな彼女の様子に、オレの脳裏に『殿中でござるっ』と押さえつけられる武士の姿が浮かんだ。
それがいったい何を意味しているのかは、まったくわからんかったが。