モンスターハーレム 111
「なっ・・・!?」
「あの巫女装束の女・・・狭霧と言う人間の気配に当てられたみたいでな。
とは言え、命の恩人でもあるわけだし、地上のことも聞いてみたかったんでな。
殺すこともできず困っていたんだ」
オマエたちとの戦いで血が昂ぶっていたからな、とつぶやきながら鎖につながれたトルナ・テト・リーリの顔を眺めていく。
彼女らの表情にはもはや憎悪など微塵も感じられない。
あるのは驚愕。そしてこれから起こるであろうことへの絶望と期待だった。
「オマエらがオレを殺そうとしたこととか反対派の情報なんて、実はどうでもいいんだ。
ただ、オマエたちにはオレの相手をしてもらいたかっただけ」
「そっ、そんな・・・!?」
「だからオマエらはオレを憎んでくれていい。
また殺そうとしてもかまわない。
だから今は・・・オレの相手をしろ」
「ヒッ!?」
リーリが悲鳴を上げる。
他の2人に至っては恐怖で声どころか身体を動かすことすらままならない。
だがオレは止まらない。止めるつもりもない。
オレは残された哀れな生贄たちへ襲いかかっていった。
――――――――――――
「・・・遅い」
オレが捕虜娘6人に襲いかかっていたその頃。
サルスベリから提供された部屋の隣で、ミミ・オルゾス・狭霧がオレが出てくるのを待っていた。
「まだ尋問は終わらないのか?
いくら何でも時間がかかりすぎではないのか?」
「落ち着け、狭霧殿。相手は腐っても魔物の戦士。
そう簡単に口は割らんよ」
待ちくたびれた狭霧をオルゾスがたしなめる。
今、彼女らは再度の襲撃に備えて待機している真っ最中だった。
「しかしだな。
ここには我々だけでなく、サルスベリ殿がよこしてくれた応援の6人もいる。
もう1人くらい尋問に加わるべきではなかったのか?」
そう言う狭霧の視線の先には、オレに抱かれ、無事成長を遂げたリザたちがいた。
魔王反対派50名の襲撃を受けたことを知ったサルスベリが、サンプルのオレを守らせるために派遣した新たな仲間である。
・・・もっともアイツのことだから、貴重なサンプルであるオレを失いたくないのと6人の観察が終わったから、というのがホントのところかもしれないが。
ちなみにそのサルスベリは、メイドのゴーレムを連れて魔物の死体を回収しに出かけている。
いわく、『魔物の死体も貴重なサンプル』とのこと。
新しい観察対象やオレの戦闘データ、実験用の死体などのお宝を次々と手に入れられて、本人はひどく喜んでいた。