淫魔界にようこそ 25
そして、ある程度『扉』に近付くと
「今だ!」
と『扉』へと走り出した。
「しまった!」
退魔士はレイナが走り出したのに慌てて後を追う。
更に退魔士の目の前に『扉』へと入るリザリアと由貴が見えたのだ。
「お前ら!人を連れて何処へ行く!」
と退魔士も急ぐ。
そしてレイナと退魔士が急ぐが…
ドンッ!
「うわぁぁ!!」
「ふぁぁぁ…」
レイナが一足早く二人を中に押し込んだのだ。
そしてレイナ自らの体も二人に寄りかかるように入ると
「O@/”☆aAWz.#!」
呪文を説き『扉』の手前で結界をかけたのだ。
「そうはさせるかぁぁ!!」
退魔士もすぐさま結界を破くものの『扉』は閉じ裂け目さえもう見えなくなっていた。
「ちっ!逃しちまった…それより人を連れて行ったが彼奴らは何をするんだ…」
退魔士は『扉』のあった場所を見つめるしかなかった…
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光に包まれてから雄介の視界はなかったがそれでも異常な体験はわかった。というか・・・・・
「うっ、吐きそう」
突然、重力がなくなり胃の中が流動し喉元まで吐瀉物が競りあがってくる。簡単にいえばジェットコースターで頂点の部分で逆様の状態が数十秒続いている状態といえばいいだろうか。
(も、もう無理)
必死に我慢してた後、限界まで来て思わず口から漏れようとする寸前、目の前の光が切り裂かれ、そして―――突然にわけのわからない場所にたどり着いた。
「えっと・・・・ここ、どこ?」
雄介を辺りを見回して青褪める。ジャングルという言葉が相応しい鬱蒼と茂る森の中、時折響き渡る動物達の叫び声、木々の間から覗く空は既に夜となった暗闇が広がり、在り得ない三つの月が輝いていた。
「まさか、異世界とかね・・・・あははっ、そんな馬鹿なことが・・・・・」
「異世界じゃない。ここは淫魔界。淫魔達の住まう場所、男の桃源郷であり地獄」
「え?」
雄介が驚いて振り向くと、そこには純白の着物を纏った絶世の美女―――雪村白那が風雅な姿のままで佇んでいた。その横顔に浮かべる嘆息すらも美しい。
「えっと・・・・雪村先生?」
「もう先生はいわなくてもいいですよ。いえ白那と呼んで下さい」
優雅な中に覗く淫蕩な笑みにゾクッと背筋を震わせながら雄介は問いかける。