淫魔界にようこそ 24
由貴は『扉』に一番遠かったリザリアに抱き着いて来たのだ。
「とりあえず最優先で雄介を送る!
そして退魔士も近付いているから我々も此処に残る事は出来ないから最悪の場合は飛鳥山さんも連れて行くわ!」
「でも『扉』の方は…」
「一人位増えたって何とかなるわよ」
と雄介を最優先に『扉』へと連れて行った。
そして雄介を『扉』に入れ淫魔達も次々と入り、残るはレイナと由貴に抱き着かれたリザリアを残すのみとなった。
「残るは私とリザリアだけだぞ」
「わかってるけどぉ…」
二人は急いで『扉』に入ろうとする。
だが由貴はまだリザリアから離れずに抱き着いていた。
「はぁぁん…あぁぁん…わたしにも…わたしにもぅぅ…」
リザリアに抱き着きつつも淫らに喘ぐ由貴。
「致し方ない、この娘も連れて行くわよ」
「わかりましたですぅ…
二人は覚悟を決めて由貴も連れて『扉』に入ろうとした。
その時…
「待ちやがれ!この誘拐悪魔野郎!」
遂に退魔士が全ての結界を破り屋上へと辿り着く。
姿こそ黒衣で未だにわからないが束ねられた長い黒髪と甲高い声から女だと想像がついた。
(ハァ・・・・来たわね)
レイナは溜息を漏らしながら自らの影に潜ませていた愛用の槍を取り出す。繊細な装飾が施された朱色の槍だが、よく視ればそれは全て魔術文様であり実戦重視だ。
退魔士の方も黒衣の奥から甲高い声とは裏腹の実戦経験を豊かな冷徹な視線がレイナを視ているのがわかる。
「お前ら、何のようでこんな場所にやってきたんだ。普通なら路地裏や滅多に人が来ない場所でオレ達から隠れてこそこそしてる癖に」
「あんたに答える必要はない」
「そうかい・・・・なら滅ぼすだけだ」
退魔士の握る日本刀に霊気が満ち、レイナは槍を下段に構える。二人の間で気迫と緊張が混じる。そして次の瞬間、退魔士は踏み込みと共に強烈な斬撃を繰り出していた。
「っ!」
熾烈な斬撃を槍の柄で受け止めるが、そのあまりの威力にレイナは体勢を崩される。そこへ次々と繰り出される連続攻撃にすぐさま劣勢へと追い込まれた。
“しまった!小奴がここまでの剣の使い手だったとは迂闊だった…”
とレイナそう後悔しつつ視線を『扉』の方へと向ける。
そこには
「うんしょ…うんしょ…」
「あぁぁん…ひゃぁぁん…」
と既にリザリアと由貴の上半身が『扉』に入っており下半身も、もうすぐ入ろうとしていた。
レイナはそれを見て
“たぁぁく…しゃあない…ここは一つ…”
と退魔士との間をとりつつ気付かれないように『扉』へと近付いて行く。