淫魔界にようこそ 15
しかしレイナが持つ別の能力が由貴の素質を感じ始めていた。
“あの娘…もしかしたら淫魔の卵なのかも…”
そう感じるとレイナは由貴を真剣に見つめていたのだった。
レイナが持つ能力の一つに能力を見破る能力がある。
相手が持っている能力を見破り次の手を考えるのに優位になる有能な能力である。
だがレイナのは弱く一人を十数分じっくり見てようやく分かるもので残念ながら闘いでは使い物にはならない。
だが闘いの無い状況でじっくり見られる事が出来るとその能力がようやく発揮出来たのである。
”でも、このタイミングで淫魔の卵を持つ者が現れてもねぇ・・・”
レイナは溜息混じりに由貴を見た。実際彼女は他の女子生徒に比べて淫魔の素質ははるかに高いように見える。仲間にすればレイナたち『防人』に匹敵する淫魔になるだろう。
しかし、現在、雄介を捕らえ淫魔界へと送り込む為の転移魔方陣を展開している途中だ。
彼女が淫魔になったとしても、現在の彼女達のように自らの淫気を隠すことなど難しい。
下手すれば『退魔組織』を呼び寄せてしまうかもしれない。
”あ〜あ、本当に美味しそうな娘なのに残念だわ”
レイナはそんなことを考えながら視線をバスケをしている由貴でも柔道場で練習している雄介でもなく、学園の屋上に向ける。
普通のに人間には見えないように結界が張られ、そこでは空間転移の魔方陣が他の防人の手によって編みこまれているのだろう。
今の時間なら白那やリザは授業中―――なら、いるのは淫蕩妖精の、彼女か。
「真面目にやってるんでしょうね」
妖精は彼女達の王であるフェティリエ様と同じく気まぐれで気分屋だ。
「今日の満月にあわせなきゃいけないのよ」
と窓越しで屋上を見上げながら呟いていると
「レイナ先生!シュート練習終わりましたけれど次は何をするのですか?」
一人の女子生徒がレイナに質問してきた。
ちなみにレイナは授業中でも苗字では無くレイナと呼ばせている。
「分かった…次は・・・」
レイナは授業に集中せざろう得なかった。
・・・・・・・・・
その頃、屋上の上では一人の教育実習生がいた。
しかし…
「はあぁ〜あ…かったり〜ぃ…」
とやる気が無さそうに横に寝そべっていた。
その姿はと言うと…
身長は160弱と決して低くはないが、腕や脚は勿論、腰つきも細くお尻の肉付きも少なめである。
頭も小さく童顔のうえに太股にまで伸びた青い髪もあって全体的に細くて華奢な印象だ。
ただし胸は他の実習生と同様に美しく突き出ておりそのアンバランスさが彼女の魅力であった。
「め〜んどくさ〜いな〜ぁ…こんな時は屋上で寝転ぶに限る」
と見ての通り性格的には…こんなような奴である。
その時…
ガチャ…
屋上の扉が開いたのだった。