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淫魔界にようこそ
官能リレー小説 - ファンタジー系

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淫魔界にようこそ 16

「ちょっと、ノルティカ?何サボってんのよ!?」

様子を見に来たリズが艶やかな金髪を揺らしながらやってきた。

「今日を逃したら、また1ヵ月は彼を連れ出せなくなるのよ?
 いったいどういうつもり?」
「だぁってさぁ〜。そっちばっか人間クンと仲良くしちゃって、こっちには自己紹介すらさせてもらってないんだよ?
 やってらんないっつ〜の」

憤慨するリズの言葉などまるで気にしていないかのように、ノルティカと呼ばれた女性は寝転んでしまった。
その様子にリズは思わずため息をつく。
こうなったらもうテコでも動かせない。
快楽主義者の多い西洋淫魔のリズには、彼女の気持ちがよくわかった。
淫蕩妖精は気まぐれで自由奔放だ。
そんな彼女を束縛しようなんて元々無理があったのだろう。
自分が彼女の立場なら、彼女のように仕事を放り出して雄介の元へ行く。
とは言え、今日を逃せば彼を淫魔界に連れて行けなくなる。
そうなれば気の短い上司たちに何と言われるかわからない。
ただでさえ、あちらの住人は男に飢えて苦しんでいるのだ。
上司の説教だけでもイヤなのに、淫魔界中の淫魔に恨まれるなんて冗談じゃない。
めんどくさい仕事と恨み混じりの説教フルコース。
どちらを取るか、天秤にかけるまでもなかった。

「・・・はぁ・・・。わかったわよ。
 少しの間なら代わってあげるから、雄介君のところに行ってきなさい」
「え!?いいの!?」

心底うんざりした様子のリズの言葉に、ノルティカは輝かんばかりの笑顔で反応する。

「いいも何も・・・。このままじゃアンタ仕事しないでしょ?」
「わーい!だからリズちゃんって大好き!
 ボクのことよくわかってるぅっ!!」
ノルティカはそのうれしさを体現するかのように、リズに抱きついて感謝のキスの嵐を振りまいた。

「貸し1つだからね?早く戻ってきなさいよ?
 でないとアンタの自慢の羽をもいで触角をチョウチョ結びにしてやるから」
「うんうん、わかってるわかってる!
 それじゃちょっと行ってきまーすっ!!」

言い終わるが早いか、ノルティカはものすごい勢いで屋上から走り去る。
正体を出さないで人間らしく走っていったことに内心ホッとしながら、リズは仕事を始める。
神と悪魔のどちらを恨めばいいかと考えながら・・・。
 



慌てて道場へと向かうノルティカ。
駆け足で道場に続く渡り廊下を走っていると

キーンコーンカーンコーン…

チャイムが鳴り一時間目が終えた事を告げる。

「はっ…早く行かなきゃ」

ノルティカは更に急いで渡り廊下を渡っていると

ドスッ!…ブッチュッ!

“イッ…タタタタ…ん?”
“だっ…大丈夫ですか?…って喋れないじゃん”

こう言う時のお約束なのか…
授業を終えて教室へと戻って行く途中の雄介とノルティカがぶつかってしまったのだ。

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