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学校で死のう!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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学校で死のう! 1

「しかし夜の学校というやつは相変わらずぞっとしないな」
深夜に近い時刻。とある地域に存在する高等学校に、生徒の一人である室重哀徒(むろしげ あいと)の姿があった。
小柄で長い髪の裾を束ねた姿はどう見ても少年というより少女のものだったが、これでもれっきとした男子生徒である。
哀徒はある小説を毎晩寝る前に少しずつ読むのが日課になっていた。ところがこの日、彼はその本を人に紹介するために学校に持って行き、しかもうっかりそのまま置いて来てしまったのである。
「仕方ない。明日までの我慢だ」と思いつつ布団に入ったのだが、どうにも続きが気になって寝付けない。そこでやむを得ず学校まで歩いて取りに来たのである。
身支度を整えて家を出るとまっすぐ学校に向かった。まずは宿直室を訪れる。もちろんそこに至るまでの道筋電灯は点いていないが、幸い夜目は効く方だし月明かりもあるので歩くのに問題はない。



哀徒が夜中の学校を訪れるのはこれで二度目であった。
――1度目の時は散々だったな!
その一度目とは入学早々仲間とやらかした肝試しである。
哀徒が通うこの高校には戦国時代に死んだ武士の幽霊が出るという噂があり、入学の暁にはぜひその真偽を確かめたいと彼は思っていたのだ。
同じく幽霊の噂に興味がある同級生(全員哀徒と同じ中学の出身)を何人か誘って学校の前まで来たのはよかったが、窓を通して校舎の中に動く人影が見えると彼らは急に及び腰になった。
曰く宿直の先生か用務員さんなら懐中電灯で照らしながら歩くはずだ、それを持たない人影ということは…
哀徒もひょっとすると噂は本当だったのかも知れないと思ったが、その感想は少し違っていた。
「聞いてくれ。侍の霊が成仏しないでこの世をさまよっているのは殺され方が足りなかったからだと祖父ちゃんが言っていた。その幽霊が本当に出るなら俺が斬り直して極楽往生させてやる。みんなはここで待っていろ」
哀徒は仲間に向けてそう言うと真剣の脇差を腰に差し、『神風』という文字の入った日の丸の鉢巻をして単身丑三つ時の高校に乗り込んだ。
校舎の中をしばらくうろついていると果たして前方に人影が見えてきた。哀徒は足音を消して走り寄るといきなり大声で叫んだ。
「そこにいるのは誰だ!!」
人影がこちらを振り向く。哀徒を見て短く「ヒッ!」という悲鳴を上げるとドタドタと足音を立てて逃げて行ってしまった。
――生きている人間だったか。つまらないな!
哀徒は落胆したがこれはこれで不審人物なので見過ごすわけにいかない。直ちに追跡を開始した。男は走りながら糞尿を漏らしているらしい。異臭が哀徒の鼻を突く。
――誰が掃除するんだ、これ!?
愚痴りながら追いかけていくと男は学校内に詳しくないらしく、袋小路に入り込んだ。
「おっと」
哀徒は一旦男と距離を取った。

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