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螺旋のコロシアム
官能リレー小説 - ファンタジー系

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螺旋のコロシアム 8

その光は次第に勢いを増し、周囲に衝撃波を放ちはじめた。
「くっ」
明らかに危険が迫っているのはわかった。
「おい!大丈夫か!」
イラルが叫ぶと、エミリーもレナーテも頷いた。
その次の瞬間、放出される螺旋は突如回転を速め、周囲に暴風を巻き起こした。
その暴風に俺とイラルは巻き込まれ、螺旋の中心部へと飲み込まれていく。
「くそぉ!」
イラルの悪態が聞こえた。
人間を持ち上げて吸い寄せる程の暴風が吹き荒れているというのに、人間以外には影響が無いらしく木の葉1枚飛ばされていない。当然、眼下に小さく見える建物も無事だ。
町に被害が無いのは良かったが、この状況はまずい。
俺は直感的に感じた。
螺旋の中心には、何かがある。
そして俺達はそこに引きずり込まれようとしているのだ。
このまま吸い寄せられ、内部に取り込まれたら一体どうなるか。俺は固唾を呑んで成り行きに任せることしかできなかった。
「リート!大丈夫か!」
イラルが叫ぶ。
「俺は大丈夫、イラルは?」
「こっちも大丈夫だ!どこも怪我をしていない」
「よかった」
とりあえずお互いの無事は確認できたので、体を傾けたり手をばたつかせてどうにかイラルに近づこうとする。
しかし、近づくどころか逆に引き離されそうになる。
「くそ!」
俺は必死になって手を伸ばしたが、イラルには届かなかった。
やがてイラルの姿が見えなくなった。暴風の中心部にある何かに吸収されてしまったんだろう。
そして、俺の体も吸い込まれようとしている。必死に抗うが、抵抗むなしく俺は竜巻の中心に向かって飛ばされていく。
中心には、何が待ち受けているのか。
それを見極める時間も与えられぬまま、俺の視界は白い光に包まれた。

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