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井戸の怪異
官能リレー小説 - ファンタジー系

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井戸の怪異 10

特に詳しいのが大剣使いの戦士であるクラークだった。
彼の髪は白に近い色合いだが白髪というわけではないらしい。
若干長い髪の大男はその場に座り込むと花を一本だけ引き抜いて、デビーに見せた。
「この花には何かがついている…、めしべの辺りを見てくれ」
赤い筒状の花だった。デビーは花びらを指で広げた。
めしべにねっとりと絡み付いている物は乾きつつある白濁だった。
それを見てデビーはペトルの裸体を想像し、思わず花を落としてしまう。
「気分がいいものではないよな」
クラークはデビーに何があったかを知らないのでこの反応を単なる嫌悪感によるものだと判断した。
 
目的の薬草ごとに採り方は違った。若芽のみを使うものは、頭の2〜3枚を集める。
まるごと使い道のある薬草は、根っこを土ごと掘り返して濡らしたボロ布に包むと、良い値段で引き取ってもらえるのだとか。

「実家でも薬草の使い方は習いましたが、やはり専門のプロの方は違いますね。生活に直結してるからか、色んな工夫が知れて楽しいです!」

魔女らしき先輩から教えられたことを、嬉々として報告してくるアネモネ。
いつ懐かれたのかと疑問に思いつつも、デビーは少女の頭を撫でてやっていた。
少し離れたところでは、戦士の先輩がもう1人から甲斐甲斐しく世話をされている。
もの静かな印象の彼女だが、大層幸せそうな顔で彼と隣に寄り添っていた。

「そうか、良かったな。まぁ……俺らも飯、とっとと食っちまおうぜ?」
「あ、そうですね! ……あれ、お兄さんもあそこの酒場のお弁当ですか?」

アネモネがリュックサックから取り出したのは、デビーと同じルーチェの店の包みである。
冷めても美味しく腹を満たせるように。と店主が売り出す弁当は、街の肉体労働者たちにとって定番の御馳走でした。
今日のメニューは、シードルの小瓶とサンドイッチ。
挟まれてるメインの具材は、朝の豚ソテーに煮詰めたタレを塗り葉野菜を添えたもの。
蒸かした芋を荒く潰しまろやかで少し酸っぱい卵のソースで和え、細瓜と甘黍を混ぜ込んだもの。
さらには戻りサーモンのムニエルをチーズ乗せて炙り、胡椒を効かせたソースを纏わせたものです。
オヤツとしてたっぷりのバターとベリーのジャムを挟んだトーストも付いていて、アネモネの目がキラキラと輝いていました。
何だかんだと腹を空かしていたデビーは、ガブリと噛み付いてサンドイッチを堪能しています。
脂の乗ったこの時期のサーモンの旨味が口一杯に広がり、胡椒とチーズの濃厚な風味が脇を固めて満足感を与えてくれました。

「んんぅ〜っ、おいひぃです! 豚さんのお肉の重厚さに負けないソースは、やっぱり流石ですね!」

ニコニコと楽しそうな笑顔でサンドイッチをパクつくアネモネの姿に、思わず表情が緩んでしまうデビー。
口もとを汚しながらも食べるのを止めない為、ついつい布巾でぬぐって世話してしまう。
恥ずかしそうに照れ笑いしながらも嬉しそうな彼女を横目に、彼はシードルをあおって喉を潤した。
食事も一段落したため、今日教わった知識を反復して成果を確かめていきます。
全員の昼食が終わった頃。装備を締め直すと隊列を組みなおして、帰り道を歩き出しました。

「それじゃあ……帰りは別の道を行こうと思う」
「暗黙の了解としてね、出来るだけ見回りと間引きをしておくのよ……」

先輩たちから森でのルールを教わりつつ、新人2人は適度に意識を張りながら移動していく。
動きの止まる相手には急所を断ち切るように、前衛でカバーし合いつつ仕留めていった。
蜂と戦う時は無理に切り払おうとせず、大剣使いに守りを任せて遠距離攻撃持ちが撃ち落として倒す。

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