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井戸の怪異
官能リレー小説 - ファンタジー系

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井戸の怪異 24

中にペトル達が居るとは知らないヘンリーは容赦なく花を切り裂こうとした。だが、それを触手が止める。
「やっぱり花にしては的確に動いているな」
ヘンリーは不気味なものを感じた。ただ強いのとは違う、意思の感じられる動きに逃げ腰になる。
ヘンリーが引いたせいで戦況は急激に悪くなりつつあった。欠けた箇所からじわじわと花に追いやられていく。
「どうした。お前らしくもない」
エルネストが叫んだ。それに他のメンバーも続いた。

ヘンリーは正直逃げ出したい気分になっていた。
「みんな下がって!」
エレーネが叫ぶ。彼女の声に、ヘンリーのみならずエルネストもユスティーナも慌てて後退する。
直後、クイツボの根本から大きな火柱が立ち上がる。
みるみるうちに火柱がクイツボを飲み込み、焼いていく。

「これで…倒せたかしら…」
「それにしてもヘンリー、どうしたんだ?」
「あのクイツボ、何かがおかしい。俺には悪い予感がしてならないんだ」
「どうもそのようね。残念だけど撤退よ」

エレーネの放った火柱に飲まれ、焼けていくクイツボだが、致命傷を負ったのでは無さそうだ。
まだ触手の数本を動かして、彼らに迫ろうとする。

「いまの火柱で、私は魔力を使い果たしたのよ」
「そうね、街に戻ってこのクイツボの事を知らせましょう」

こうして、不利を悟ったエレーネ達は、クイツボが炎上しているうちに撤退した。

エレーネ達は町に戻り、あちこちでクイツボの事を話した。それにより、クイツボ対策の会議が行われるのが決まった。
「町に向かっているのかもしれないのに会議は明後日にするだなんて」
ヘンリーはとても不満げだ。
「無理言うなって。今回の件で街の近辺の調査に出た騎士や冒険者から証言などを取る。その為に呼び戻す時間がそれだけ要るそうだ」
「そういう事かよ。しょうがねぇな」

エルネストになだめられて、渋々黙るヘンリーだった。
早馬が街から方々に出され、調査任務の騎士や冒険者が呼び戻されつつあった。
その中には、デビーの姿もあった。
ヘンリーが不満を漏らし、エルネストになだめられた翌日。
呼び戻された一人であるデビーは、半ば同棲しているルーチェの作った夕食を食べながら、話していた。

「やれやれ、妙なクイツボが出てお偉いさんの前で証言かよ」
「そんなに硬くならなくてもいいんじゃないの?スイツボたくさん退治したんでしょ」
「そりゃそうだけどよ、お偉いさんを前にすると気後れするぜ」

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