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井戸の怪異
官能リレー小説 - ファンタジー系

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井戸の怪異 23

眠るペトルら数人を入れた花はゆっくりと動きだし、デビーの居る場所を目指す。
彼の強烈な記憶がそうさせていた。井戸の汚水の中で新たな黒い装備を身にまとった姿、それを無意識に探しているのだ。
「自分も勇者に選ばれていればあんな装備くらい…」
彼の妄念に突き動かされるように、花は進む。
植物系モンスターの多くは、自力移動できないが、クイツボは老人の歩み程度の速さでしかないが移動できるのだ。
バルダナの街はまだまだ遠く、じわりじわりと進む。


最初にこの妙な花に遭遇したのは、魔女エレーネをリーダーとする5人組のパーティだった。
人間の魔女エレーネ、弓使いでエルフの女性パトリシア、前衛を務める戦士のエルネスト、神官で治癒術師の女性ユスティーナ、シーフのヘンリー。

「何だこいつは?」
「クイツボみたいだけど、さらにおかしいわね。変種かしら?」

エルネストの疑問に、エレーネが答えるが彼女も正体を掴めない。

「だとしたらまずいぜ。そうでなくてもスイツボ多発で討伐命令出てるんだぜ。さっさと潰して、報告しないといかんな」
「クイツボも増えてるって注意が一緒にでてたわね。倒すべきよ」
「だな、質の悪い奴特有のにおいがぷんぷんしやがる」
「犠牲者を増やすわけにはいきません。倒しましょう」

魔術師であるエレーネにもわからない謎の植物だが、エルネストの言葉に、パトリシア、ヘンリー、ユスティーナも次々に討伐に賛成する。

「やるわ。私がまず焼き討つから、皆で触手を潰していって!」
「おう!」
「了解よ!」
「ああ!」
「はい!」

エレーネが火球を次々に撃ち始める。パトリシアも弓をつがえ、花を狙って撃ち始めた。
彼らを敵と認識した花は、触手で他の3人の接近を遮ろうとする。

単なる花ではないので、早速3人はペースが乱れていく。
「誰かに操られているみたいだ」
ヘンリーが言う。
「やはりそう思うか、花にしては攻撃が複雑すぎる。知性が感じられる」
「気を付けないとまずいよ。なんだか攻撃というよりは男女見境なく狙っているような…」
男はすぐに死なせるクイツボと違うのは中のペトルがデビーの事を考えていたからだろう。
ペトルは悪の道に進みかけてはいたが、人をむやみに殺すような極悪人ではない。だからこそ花の狂暴性をコントロールすることが出来ていた。
ヘンリーが触手を飛び越えて基部を目指す。中にペトルが居る場所だ。ペトルは眠っているのだが、本能的に対応をする。

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