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井戸の怪異
官能リレー小説 - ファンタジー系

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井戸の怪異 22


「駄目っすね…既にこと切れてます」
「まずいわね。最近はスイツボの数が変に多くなってる」
「これで6人目です」

倒れていた男を調べていた、女性冒険者が言った。
男は、干からびた遺体となっていたが肉棒だけが勃起していた。
女騎士が率いるグループが、街の周囲を調べていた。もともと率いていた小隊に、魔術師や戦士も加えた、臨時のチームだ。

「身なりからすると山賊ですね。どのみち人間を辞めた連中ですし、一般人が被害を受けるよりまだましですよ」
「そうね。今はまだ被害者は山賊どもにすぎないからいいけど、旅人や住民の被害は防がなくてはならないわ。一般人に性欲発散にスイツボを使う不届き者が出ないよう、布令を出していただかねば」

魔術師が肩をすくめて言い、女騎士も同意した。

「一応、身元を改めておきましょう」
「ん…持ち物に大したものは…盗品と思しき財布や身の回りの道具だけですね」
「そうか。遺品は証拠として押収、遺体収容し、火葬する」
「はっ!」

女騎士配下の兵士たちが、干からびた遺体を収容した。
馬車に、ほかの5人の遺体と一緒に乗せられる。
その日の夕方には、バルダナの街の衛士隊で身元と犯歴が改められた。
翌日には火葬場で遺体が焼かれ、遺骨は共同墓地に埋葬された。





「さあ、ひと稼ぎしないとな」
「へへ、いってらっしゃい」

派遣された女騎士がバルダナに戻った次の日から、スイツボ多発を警告する布令が街に張り出され、冒険者達への仕事依頼としても領主からスイツボ退治が発せられた。

「ルーチェのためにも、頑張んないとな」
「俺たちの看板娘をゲットしたんだ。働いてもらうぜ!」
「あたし達も稼ぎ時だしね!」

臨時のチームを組んだ仲間からは、ルーチェを彼女にしたことを冷やかされ、そして期待されていた。
氷結系の剣を持つデビーは、こうした相手には有利だった。スイツボや、時折出現するクイツボにもその力を発揮した。
たまに男性冒険者がスイツボに吸われる事もあったが、討伐は順調だった。

一方その頃ペトル達はというと彼等も花のような魔物に取り込まれていた。
クイツボに似ているそれは彼等を溶かしたり殺したりはしない。あの不気味な井戸水に浸っていたおかげで耐性のようなものが出来ていたのだ。
特にペトルはそれが強く現れており、自らを包む花を好きなように作り替えてすら居る。
ある意味ペトルとその花は共存した状態にあった。今のペトルにとって包み込む花は鎧かシェルターのようなものともいえる。
だがペトルも仲間もまだ眠り続けたままで、自らが花を作り替えた認識すらもない。

事態は妙な方向へと動きつつある。

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